27
「――あ、ユーキル先輩遅かったですね? 何かしてたんですか?」
「あぁ、ちょっとな…」
休憩から中々帰って来なかったユーキルをユーシスは心配そうに見つめた。
しかしユーキルは挙動不審で目を合わせない。
(ミシホの奴め…! あんなことできるのかっ!)
ユーキルにとってアイーヌの出した条件はあまりにも酷いものだった。
しかしユーキルはそんなことできない、と思いつつも写真集は返して欲しいのでやらざるを得ない。ユーキルはゴクリ、と唾を飲み込んだ。
「か、彼氏とかいるの?」
「……は?」
ユーキルの言葉にユーシスはぽかんと口を開けた。
あぁ、やっぱりこんなことできない。ユーキルはそう思った。
********
(うふふ、良い感じ良い感じ!)
数メートル先、ユーキルとユーシスの雰囲気がどんどん険悪になっていくのを見て、アイーヌは嬉しそうににんまり笑う。
そのままユーシスに嫌われてしまえ! とアイーヌは苦笑いでユーシスに話かけているユーキルの背中に向かって心で叫ぶ。
(まぁ、これからが本番だけど)
*********
ユーシスは困っていた。先程からユーキルが変な質問ばかりするからだ。
「す、スリーサイズは?」
「わ、わかりません」
「初めてのキスの相手は?」
「え、えーっと……こ、これ何の質問ですか?」
「…良いから教えろ」
「い、やです……ごめんなさい」
ユーシスはユーキルの事が苦手になった。
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]