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「――あ、ユーキル先輩遅かったですね? 何かしてたんですか?」
「あぁ、ちょっとな…」

 休憩から中々帰って来なかったユーキルをユーシスは心配そうに見つめた。
 しかしユーキルは挙動不審で目を合わせない。

(ミシホの奴め…! あんなことできるのかっ!)

 ユーキルにとってアイーヌの出した条件はあまりにも酷いものだった。
 しかしユーキルはそんなことできない、と思いつつも写真集は返して欲しいのでやらざるを得ない。ユーキルはゴクリ、と唾を飲み込んだ。

「か、彼氏とかいるの?」
「……は?」

 ユーキルの言葉にユーシスはぽかんと口を開けた。
 あぁ、やっぱりこんなことできない。ユーキルはそう思った。


********


(うふふ、良い感じ良い感じ!)

 数メートル先、ユーキルとユーシスの雰囲気がどんどん険悪になっていくのを見て、アイーヌは嬉しそうににんまり笑う。
 そのままユーシスに嫌われてしまえ! とアイーヌは苦笑いでユーシスに話かけているユーキルの背中に向かって心で叫ぶ。

(まぁ、これからが本番だけど)


*********


 ユーシスは困っていた。先程からユーキルが変な質問ばかりするからだ。

「す、スリーサイズは?」
「わ、わかりません」
「初めてのキスの相手は?」
「え、えーっと……こ、これ何の質問ですか?」
「…良いから教えろ」
「い、やです……ごめんなさい」

 ユーシスはユーキルの事が苦手になった。



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