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 アイーヌはステージに上がって司会者のマイクを奪うと挨拶を始めた。

「うふ、皆さんどうも。これから黒魔術研究部によるクイズ大会を始めます」

 だみ声が会場に響き渡る。

「じゃあゲストの二人から挨拶を」

 アイーヌはマイクをユーシスに渡す。ユーシスはニコニコしながら喋り出す。
 マリスは特別席から大きく手を振った。ユーシスは気がつかなかった。

「ユーシス=キリクボートです。クイズは苦手ですけど頑張りますね」

 そしてユーシスはマイクをユーキルに渡す。渡す時に手が触れ合いユーキルはびくっとした。

「……ユーキル=マライシスだ。よろしく」

 短く簡潔に挨拶を終えるユーキル。だが、アイーヌはユーキルの耳が真っ赤なのを見逃さずニヤリ、と笑った。


*******


「それじゃあ5分ほど休憩をはさんで再開します」

 クイズの前半が終わり、休憩を挟む。
 アイーヌはトイレへ向かうユーキルの後を追い話しかける。

「ねぇん、マライシス。君、さっき会長君と手が触れ合っただけで耳真っ赤にしてたね」
「…気色悪い声をだすな」
「相変わらず会長君大好きなんだね。まあ、隠し撮りして写真集作っちゃうんだもの」
「なに言ってるんだ? あれは前にお前が」
「やだしらばっくれないで。新しい写真集あるじゃない? ほら、ね?」

 そう言って懐から盗んだ写真集を出すアイーヌ。それを見たユーキルは怒りでみるみるうちに顔が真っ赤になる。

「お、お、お前! 勝手に人の部屋に!」
「やだぁ、ちょっとお邪魔しただけだよ?」
「くそっ! それを返せ!」
「いやだね。あぁでも、僕の言うこと聞いてくれるなら返してあげる」
「な、何をすれば?」

 その言葉を待っていた、とアイーヌはニヤリと下品な笑みを浮かべた。



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