26
アイーヌはステージに上がって司会者のマイクを奪うと挨拶を始めた。
「うふ、皆さんどうも。これから黒魔術研究部によるクイズ大会を始めます」
だみ声が会場に響き渡る。
「じゃあゲストの二人から挨拶を」
アイーヌはマイクをユーシスに渡す。ユーシスはニコニコしながら喋り出す。
マリスは特別席から大きく手を振った。ユーシスは気がつかなかった。
「ユーシス=キリクボートです。クイズは苦手ですけど頑張りますね」
そしてユーシスはマイクをユーキルに渡す。渡す時に手が触れ合いユーキルはびくっとした。
「……ユーキル=マライシスだ。よろしく」
短く簡潔に挨拶を終えるユーキル。だが、アイーヌはユーキルの耳が真っ赤なのを見逃さずニヤリ、と笑った。
*******
「それじゃあ5分ほど休憩をはさんで再開します」
クイズの前半が終わり、休憩を挟む。
アイーヌはトイレへ向かうユーキルの後を追い話しかける。
「ねぇん、マライシス。君、さっき会長君と手が触れ合っただけで耳真っ赤にしてたね」
「…気色悪い声をだすな」
「相変わらず会長君大好きなんだね。まあ、隠し撮りして写真集作っちゃうんだもの」
「なに言ってるんだ? あれは前にお前が」
「やだしらばっくれないで。新しい写真集あるじゃない? ほら、ね?」
そう言って懐から盗んだ写真集を出すアイーヌ。それを見たユーキルは怒りでみるみるうちに顔が真っ赤になる。
「お、お、お前! 勝手に人の部屋に!」
「やだぁ、ちょっとお邪魔しただけだよ?」
「くそっ! それを返せ!」
「いやだね。あぁでも、僕の言うこと聞いてくれるなら返してあげる」
「な、何をすれば?」
その言葉を待っていた、とアイーヌはニヤリと下品な笑みを浮かべた。
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]