18

 風紀委員長は苛々しているのか貧乏揺すりをしながら爪を噛む。

「あの、マライシス先輩?」
「…なんでもない。気にするな」

 心配そうに見てくる後輩にそう告げるユーキルだが、内心気が気じゃなかった。この前の会議でアイーヌに「四年前と同じ事してあげてもいいんだよ?」と言われてから、いつアイーヌに行動されるか気になって仕方がなかった。
 しかも“あの人”と親しげにしていたのも気に食わない。
 仕事が手につかないユーキルは仕事を切り上げて寮部屋に帰る事にした。



********



 部屋につくとユーキルは真っ先にとある収納箪笥に向かい、あるものがあることを確認する。

「よかった…無事だな」

 いつ“これ”が四年前と同じような目に合うかは分からない。やはり常に持ち歩くべきか、とユーキルは思った。

「あぁユーたん!」

 ユーキルは写真の中で微笑む“あの人”を愛しそうに見つめた。

(しかしアイーヌめ…一体何を考えているんだ…!)

 きっとあいつは創立祭で俺に何かするつもりだろう、とユーキルは思っていた。
 “あの人”と最近やけに親しげなのも腑に落ちない。一体“あの人”に何をさせるつもりなんだ。
 ユーキルは再び爪を強く噛んだ。



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