七夕って知ってるかい?2

 それから三時間後、ニリアは探しに探してやっと七夕に使える笹を入手した。

「用意ができました…」
「あぁ。ありがとう」
「わぁニリア! とっても立派な笹だねぇ」

 生まれて始めて見る笹にユーシスは嬉しそうにはしゃぐ。
 マリスもそんなユーシスを見て満足そうに笑う。

「それで? どうすればいいんだい? ニリア」
「うん、この紙に願い事を書くんだ。そしたら…」



*******


「できた!」

 笹に短冊を飾り、ユーシスは満足そうだ。

「ありがとう、ニリア! 君のおかげだよ!」

 ぎゅっと、ニリアを抱擁しお礼を言うユーシス。突然の事に動揺しながらニリアも軽く抱き返した。

「…おーっと!」

 バチャッとニリアに冷めた紅茶がかかる。
 マリスは、ごめんごめん、と言いながらさりげなく、ニリアとユーシスを引きはがす。

「ごめんね、ニリア。着替えに行っていいよ」

 マリスの“〜していいよ”とはニリアに対しては“〜しろ”という意味である。
 ニリアは仕方ないので部屋を出て着替えに行った。

「もう、兄さんたら危なっかしいなぁ」
「あははは、ごめんねユーシス」

 これまたさりげなく先程ニリアがユーシスに触れたところを軽く払いながら、マリスはユーシスの頬に口づける。

「? どうしたのさ、急に」
「…僕の織り姫様へのキスだよ。なんせ僕らも彼らと同様会える事が少ないからね」
「…そうだね。じゃあ、私も私の彦星様に!」

 チュッと軽い音を立てユーシスもマリスの頬にキスをした。

「う〜ん…次に会えるのは一年後かぁ。寂しいなー」
「うん、だから僕は今日、目一杯ユーシスを堪能するよ」

 私も!とユーシスはマリスに抱き着いた。
 着替えて帰ってきたニリアがショックを受けたのは言わずもがな…


終わり。

次ページにてあとがきとユーシス達の願い事。



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