15
廊下の角をひょこひょこ歩きニリアはユーシスを追っていく。ユーシスは尾行されていることに気付く様子は全くない。
(ここは…)
何度か角を曲がってユーシスが叩いた扉はニリアに衝撃を与えた。
「こんにちは」
「やぁ、いらっしゃい」
アイーヌの寮部屋だった。
嘘だろ、とニリアは驚く。記憶ではアイーヌが人と仲良くしている事なんて今まで一度なかったはずなのに、なぜユーシスと親しくしているのか。
これは絶対何かあるはずだ、とニリアは考えた。
ニリアは廊下の角から二人を見つめる。
「……ん?」
瞬間アイーヌがニリアを見た。
ニヤリ、と笑ってドカドカとニリアに近付いてくる。
逃げなければ…!とニリアは思い逃げようとしたが、突如体がピン!と固まり動けなくなった。
(う、動けない…)
アイーヌはひょいっと鼠のニリアを持ち上げる。
「ん〜?」
顎に手を添えニヤニヤと笑う。
「アイーヌさん?」
「あぁ、ごめん。なんでもないよ」
ユーシスが声をかけるとニリアをポケットに入れて、アイーヌはユーシスと共に部屋に入った。
ニリアは体が固まったままで動くことができず逃げられなかった。
「今お菓子とお茶の用意するから。ちょっと座って待っててねぇ」
「はいっ」
アイーヌはユーシスにそう言って別室へと入る。
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