14

 一方アイーヌは事がすんなりうまくいきほくそ笑んでいた。
 たかがユーキルへの嫌がらせのためにユーシスを使うのは少し心が痛む気もするが、嫌がらせが成功したときの達成感を考えると心躍るため仕方ない。

 アイーヌはユーシスが人に頼られると断らないことに、出会ってから数日で気付いた。
 一般生徒に頼まれたら、写真を一緒に撮ったり、頬にキスをしたり、とサービス旺盛だ。さすがに過度な要求には答えないが、基本頼まれた事は実行する。
 教師の頼みだって断らない。ポイント稼ぎというわけでもなく、本当に人に頼られるのが嬉しいようだった。

 そんなユーシスの優しいところにアイーヌは付け込んで、色々と“お願い”をしてゆっくりとユーシスに取り入っていった。



********


「あれ? ユーシスまたか?」
「う、うん、ちょっと出掛けてくるね」

 こそこそとユーシスが部屋を出て行こうとしていたところ、ニリアが声をかけユーシスはびくっと肩が動いた。あはは、と笑って誤魔化しつつそうっと扉を閉めた。
 怪訝な顔でニリアは見送った。

 ニリアは最近ユーシスの外出が多いことを怪しんでいた。
 ユーシスの護衛であるため着いていくべきだが、ユーシスにそう申し出ると断られてしまった。
 友達のところに行くだけだから、と。
 しかしその友達が誰かは教えてくれず、ニリアはもやもやしている。

(よし…!)

 尾行しよう、とニリアは決めた。
 変化の魔法を使い姿を小さな鼠に変え、さらに尾行がばれないようにと気配を消した。
 気配を消すことは魔法では中々難しくできるものは少ない。ニリアもまだ習得できていなかった。
 しかし幼い頃から護衛として育てられているニリアには、体術として気配を消すことができた。

 気配の薄い鼠となったニリアはこっそりとユーシスの後を着いて行った。



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -