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 二人の争いはヒートアップする。

「…おい、今なんて言った?」
「あれ? 君、耳聞こえなかったの? く、た、ば、れって言ったんだよ。耳大丈夫? 聞こえないなら病院いきなよ」
「おまえッ! 俺を馬鹿にしてるのか!?」
「はぁ? なにそれ、当たり前でしょ。馬鹿にしてますけど? なに、知らなかった? てか、君いい加減その沸点の低さどうにかしたら? 君みたいのが風紀委員長なんかで委員会務まるわけ?」
「それは、こちらの台詞だ! お前みたいな胡散臭い男が部長なんかで倶楽部は平気なのか? というか倶楽部自体胡散臭い! 黒魔術研究部、なんて怪しい倶楽部何をしているのか分かったもんじゃない」
「はぁあ!? なにそれ君、黒魔術を馬鹿にしてるわけ!?」

 ヒートアップしていく二人の言い争いにユーシスや周りの生徒たちはどう対処しようか解らずにオロオロしている。
 同学年のアートを含む上級生達は、二人の喧嘩に慣れているのか涼しい顔だ。

「マライシスさぁ、四年前と同じこともう一回してあげてもいいんだよ?」

 アイーヌがそう言うとユーキルは目に見えてうろたえ始めた。

「ぐっ…! ……分かった。倶楽部に関しての事は撤回しよう。しかし! 今回の創立祭に関しては言わせてもらおう! 今まで一度も参加しなかった黒魔術研究部が今回参加することは怪し過ぎる! 風紀委員による調査の許可をいただきたい!」
「なっ…!」

 四年前と同じ事…とは一体何か気になるところだが、会議室にいた一同はユーキルの言葉に皆頭がいっぱいになった。
 基本風紀委員による調査、というのは生徒会による事前審査に問題が見付かった場合や、他によっぽどの事がない限り行われない。風紀にてそれが行われるということは黒魔術研究部は相当の問題があるということになる。
 だがしかし、今回事前に生徒会にて行われる簡易審査では黒魔術研究部には特に問題は見つかっていないため、風紀委員による調査はまず発動されないはずだ。

「待って、生徒会の事前審査では白だったはずだよね? 会長君?」
「え、えぇ」
「マライシス。じゃあ、なんで風紀の調査するわけ?」
「もちろん、委員長という立場の権利を使って俺がしたいだけだ。文句あるか?」
「…馬鹿かこいつは」

 慌ててニリアはユーシスを見る。ユーシスも戸惑いつつ頷く。
 とんでもない発言をするユーキルに対してアートが呟いた。アートはバッと席を立ち発言をし始めた。

「マライシス。私情を挟んで面倒臭いことをするのはやめろ。生徒会の事前審査にて問題は見つからなかった」
「し、しかしだなフェリミル! 黒魔術研究部は」
「マライシス。喧嘩なら外でやってくれないか。会議の時間がもったいない。ミシホもマライシスを挑発するのはやめろ」
「はーい」
「…分かった。悪かったよ」

 アートに言われて二人とも大人しくなる。
 数秒で場を納めるアートにユーシスは、アート先輩カッコイイ! と尊敬の眼差しを向けた。



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