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ユーシスは栗毛の男に親切に説明する。
「アイーヌさんが、黒魔術研究部の部長さんが今年の創立祭に倶楽部参加したいとおっしゃったので必要な書類を書いて貰ったんです」
「……創立祭に? 倶楽部参加? ミシホが?」
「えぇ。イメージを変えたいそうです」
栗毛の男は目を丸くしてユーシスの言葉を繰り返す。
「へぇ…うんそっか。ありがとう」
「いいえ」
「…君確か生徒会長だったよね? 俺、風紀委員長のユーキル=マライシス」
そう言われてユーシスは驚き改めて栗毛の男を見上げた。
少しウェーブのかかった髪の毛に真面目そうなきりりとした眉。この人があの人気の風紀委員長か、とユーシスはほうと息をつく。
「あ、ユーシス=キリクボートです」
「うん、知ってる。よろしく。…あ、時間だ。ごめんまたね」
ユーキルは忙しいのか、さっさと行ってしまった。
********
ユーシスは生徒会室に戻る。
「お帰りーどうだった?」
「何ごともなく終わったよ」
ソモルに笑顔でユーシスは答える。
ユーシスの笑顔にソモルはホッと息をつく。ユーシスにまた何かあったらどうしようと心配していたのだ。
「あぁそうだニリア君がさっき来てたよ」
「ニリアが? 何の用だろう。教えてくれてありがとう」
ユーシスはニリアがよくいる剣術鍛錬室に向かった。
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