4
放課後、ニリアとは別れてユーシスは生徒会室に向かった。
アイーヌに頼まれた創立祭の書類の用意する。
すると部屋に入ってきたソモルが声をかける。
「あれユーシスどこか行くの?」
「うん。黒魔術研究部のアイーヌさんに書類を頼まれたんだ。今年の創立祭に参加するんだって」
「えぇ!? アイーヌってあのアイーヌ=ミシホ? 何で?」
「倶楽部のイメージを変えたいんだって。いいことだよね!」
笑顔のユーシスをソモルはぽかんとした顔で見つめた。
「ユーシス、それ本気で信じてるのかい?」
「うん?」
「あのアイーヌだよ? 何か裏があるに決まってるよ!」
「あははは! ソモル勘繰りすぎだよ」
ソモルに肩をユッサユサと揺さぶられたユーシス。
しかし大丈夫、大丈夫とユーシスは手を振って、じゃあ行ってくるね、と言い書類を持って部屋をでていった。
「大丈夫じゃないよ…」
どうしてうちの会長はこうなんだ…とソモルは頭を抱えた。
*********
「アイーヌさん、キリクボートです」
「あぁいらっしゃい会長君」
部室の扉を叩くとアイーヌが出迎える。
会長君、という言葉に微笑むユーシス。
部屋に入った二人は、小さなソファーに向かい合わせで座る。
ユーシスは鞄から書類を出してアイーヌに渡した。
「これが書類です」
「ありがとう。すぐ書き終わるからちょっと待っててくれる?」
「はい、構いませんよ」
台所に行ったアイーヌはお茶とお菓子を持って戻ってきた。
前回のことを思い出し一瞬身構えるユーシス。忘れていたわけではなかった。
「今度は変な魔法かけてないから大丈夫だよ、あはは」
「あははは、そうですよね!」
ユーシスの表情が硬くなったのが分かったのかアイーヌは笑いながら言った。
アイーヌのにやけ顔につられてユーシスも笑う。
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]