3

「お茶入れるから座りなよ」
「あ、いえ、お構い無く…」

 ユーシスは手を降って言ったが、男は聞いていないのか返事はなく台所でガチャガチャと何やら食器を動かす音がする。

「あの、書類をいただけたらそれで」
「ハーブティーでいい?」
「え、あ、あ」
「いいね」

 ユーシスの返事を待たず男はお盆にティーカップをのせてやってきた。ティーポットは使わないのか、お湯の入ったカップにティーパックがそのまま突っ込まれている。
 いつもニリアが丁寧にお茶を入れるのを見てきたユーシスは、頬がひくついた。

「さぁ、どうぞ」
「あ、どうも…」

 とはいえせっかくだされたものを断るのはユーシスの礼儀に反したため、ユーシスはとりあえずお茶を一口飲んだ。

「で、書類の件ですが…」
「あぁ、はいはい。すぐ渡すよ」
「分かり……、あ?」

 男が何やら嬉しそうに笑うので、ユーシスは不思議に思いながらも書類のことを切り出した。と、急にユーシスの体に異変が起きた。
 体が痺れ、中から何かが溢れでそうな感覚がユーシスに走った。
 慌ててユーシスは向かいのソファーに座る男を見た。

「効いてきたあ?」

 にやぁと男の口がいやらしく笑う。

「一体、何──」

 を、とユーシスが続けようとしたところで──

「わぅん!」

 口から出てきたのは何か動物の鳴き声だった。




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