■ 短編で書こうと思ったけど



弟達ばかりが褒められる。俺はいつもおいてきぼりにされていく。

「くそっ!」

周りの奴らや弟達はもう自分の使い魔を見つけて契約まで済ませているのに、なんで俺だけ…
召喚魔法を使って魔獣を呼んでも、誰も俺と契約してくれない。
父様には、兄であるお前がそんなんでどうするとお叱りを受けたし、母様にもため息をつかれた。
俺だって、俺だって、頑張っていないわけじゃないのに…

「…ユリーカ?」
「!………シュートか。あっちいけよ」

ガサリと草むらから音がすると、一つ下の弟が怪訝そうな顔でこっちを見ていた。
こいつの顔なんて見たくない。

「なかなか帰ってこないからミストも心配してたよ?」
「知るか、んなもん」

そう言われてもう一人の弟を思い浮かべる。
シュートとは違い生意気でませてて、かなりムカつくやつだ。そのくせ成績は優秀でちゃんとしている。真面目ちゃんなシュートもムカつくけどミストはもっとムカつく。

「……ねぇユリーカ。もしかしてその、俺達のこと気にしてる?あの、べつに父様の言ってることなんて」
「うっさい!黙れよ!お、俺は、お前達のことなんてき、気にして、なんか……」

気にしてなんか、ない。
そう言おうと思ったのに、なぜか涙が出た。

「ゆ、ユリーカ!ごめん、僕」
「うざい!お前の、そういうと、ころが嫌いなんだ!お、俺の事かわいそう、みたいな目で、み、見るな!」
「僕、そんなつもりじゃ…!」

涙を流す俺を見て焦ったようにシュートが喋り出すからムカついた。
いい子ぶりやがって!

「おーい、シュート。ユリーカは見つかっ…た…か…」

ミストが使い魔に乗ってやってきた。
使い魔を見た俺はさらに悲しくなってしまってもう涙が止まらなくなってしまった。

「え、ちょ、ユリーカどうしたの」
「うっさいぃ!これみよがしに魔獣をみ、見せつけやがってぇ…うぅ…。どうせ使い魔も持てない俺のこと馬鹿にしてんだろぉぉ…」
「いやいやいや!何言ってんの!被害妄想だよそれ!」
「ユリーカ。落ち着いて、ね?」

ミストめぇ。被害妄想とか馬鹿にしやがってこの!
ユリーカも実は俺を馬鹿にしてほくそ笑んでるんだろ、分かってるんだぞ!

「お、お前ら本当は陰、で俺の事笑ってんだろ!ど、どうせ俺はチビだし不細工だし馬鹿だよぉ!バーカ!バーカ!馬鹿に馬鹿にされるお前ら、ざまあみろ!」
「…………末期だな」
「…父様のせいだよ、余計なこと言うんだもの」
「アホ!馬鹿!おたんこなす!やーいやーい!おまえの母ちゃんでべそ!」

それからミストとシュートは泣いている俺を無理矢理抱え上げ屋敷まで連れて行った。二人は、ユリーカの事馬鹿になんかしてないよって言ったけど兄貴を横抱きしながら言うにはちょっと不自然な台詞だ。
ちくしょう、やっぱり馬鹿にしてる。

終わり。


うーん、拍手文でも良かったかな…
もし気に入って下さる方がいれば続き書こうと思います。


2012/08/27 03:51
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