二度寝(ちぇ)

 たかが文字を書くだけのように見えるが、実際は違う。非常に体力とセンスが要る。重労働だ。フラフラと部屋の中に入る。自室に入ると、既に先客が眠りこけていた。自分の恋人である。先に布団に入り、熟睡していた。いうまでもないが、桜屋敷の脳は疲労で限界にきていた。ジッと眠り続ける恋人の顔を見続ける。仏頂面だ。眉と目尻をキッと吊り上げ、不機嫌そうに見る。まるで「先に寝るな」と文句をいいたげだ。子どもみたいに不満を垂らし、布団に潜り込む。もう着替えるのも億劫だった。着流しのまま、恋人の懐に入る。カーラの充電を考えながら、恋人の胸に顔を埋める。そのまま熟睡した。恋人も気付かない。眠り続ける。夏至の日の出は早い。朝の七時にも着かない時間帯に、恋人が起きた。ふと、自分の胸の中で眠る桜屋敷に気付く。枕から頭が落ちたせいか、桜屋敷の頭部が自分の鎖骨付近にある。恋人は少し、寝相を変えた。枕に頭を置く。桜屋敷の頭部を胸の位置に移すと、ギュッと抱えた。まるでぬいぐるみを抱くかのような手付きである。ふわりと、サラサラとした髪に沿って頭を撫でる。それで意識が浮上したのか、桜屋敷が重く瞼を上げた。吸い寄せられるように瞼が落ちる。自分の頭を撫でる恋人の顔を、どうにか見上げた。寝ている。眠りながら撫でていることを見て、桜屋敷は目を閉じた。眠り直す。スーッと息を吸いながら、熟睡に戻った。


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