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2022/02/06

klk
少し考えてから、渦に試しに尋ねてみた。「もしかして、私のこと、嫌い?」肯定の返事が怖くて、膝を抱える。両膝で顔を隠す準備をして、そうっと渦の顔を覗き見た。そうすると、ビックリした目で私を見ている。「は?」キュッと瞳孔が小さくなっていることにも驚く。「そんなに信用ないのかよ」と渦がショックを見せるので「そんなことないけど」と返すと「じゃないだろ」と渦が覆い被さるようにいう。実際、覆い被さられてはないけど、言い方がそんな感じだ。私の発言へ、覆い被さるようにいう。「じゃなきゃ、そんなことを思わないだろ」「じゃぁ、渦の愛し方に問題があったってこと?」「俺のセックスに問題はないはずだろ」あんなに喘いでたし、とボソッという。ならばどこに問題があったというのだろう。
「普段の愛情表現になるんじゃないのか? あー」渦が顔を真っ赤にして黙る。口元を手で隠した。渦の手は大きい。右から左へ、すっぽりと覆い被さった。(大きいなぁ)嫌なことも全部、渦で塗り潰せたらいいのに。そんな逃避思考を思った。 

2021/09/14

klk
「ごめんね」溢れた涙が約束を濡らす。「いや、んな謝れてもな」泣きながら謝る恋人を前にして、猿投山の決意の二文字が滲んだ。これでは詰問したくてもできない。崩れたこんにゃくが目の前にあった。ちょうど恋人が型から外そうとした拍子に、これだ。猿投山の思い描いた理想の姿はそこにはもうない。「渦の真似をすれば、できると思って」「いや、それに職人技があってだな」素人が一朝一夕でできるものではない。「本当、ごめんなさい」そうしおらしく涙を流して謝られては、反射的に飛び出そうとした文句が消えてしまう。恋人の涙で、腹の底に押し込められて酸で溶かされてしまった。折れるまで、あと数秒。 

2021/09/14

klk
 待ち人来たらず、夕暮れが海を染める。勿論、波打ち際にいる人物も例外ではない。「来るはずなんだけどなぁ」そうぼやく待ち人に「どうせ道に迷ってんじゃないの」と蛇崩は適当に返す。「ちゃんと地図を送ったのに?」「あの猿くんが、ちゃんと地図通りに進むと思って?」そう聞かれれば、肯定するしか根拠がない。「迷子かも」「だったらどうするってわけ?」チラッと向こうを見れば、|BBQ《バーベキュー》の準備が始まっている。猿投山の不在をスルーした彼らを見た待ち人は、頷いた。「ちょっと迎えに、行くかも」「あらそう。じゃぁ、さっさと行ってきな」「ありがとう」そう礼をいって立ち去る。その背を蛇崩は眺めた。 

2021/04/27

klk
 ちょっと借りたいものがあるので、先輩の部屋に入った。探すけどない。もう少し探し方を変えたら、えっちなAVの方が出てきた。アニマルビデオではない。(こんなのも見るんだ)と、少し見てはいけないものを見た気がするけど、見てしまった以上、その。好奇心が止まらない。見つけた束を一気に取り出す。一本一本ずつ眺めると、なんか先輩、こういう趣味があるんだな。
(っていうか)
 微妙に私に似てない? なんだろう、故意的? 聞くべきか、聞かざるべきか、片付けるべきか。少し悩んだ。 

2021/04/24

klk
怪しい水ってのがあった。「怪しい水ですって。先輩」「怪しいなぁ。なんか、下水道から出るヤツみてぇにドロドロしてねぇか?」「下水道というより、街中の川では? 確かに飲みたくないかも」「飲まねぇよな?」「飲みませんよ」コトンとあった場所に戻した。 

2021/04/24

klk
 小腹が空いたので探したら、カップラーメンがあった。恐らく渦の買っておいたものだろう。名前を書いてないとは不甲斐ない。渦には申し訳ないけど、ビリッと蓋を剥がした。お湯を入れて三分。お茶を飲んだりして待つ。渦はまだ帰ってこない。(あとで買っておこうかな)今食べるカップラーメンの容器を写真で保存したあと、フォークで食べた。んっ! 意外と美味しい!! ふわふわの卵に相変わらずの謎肉。元祖にして最強、元祖にして最強の名を譲らない! なんていうキャッチコピーが浮かんだ。ありがたく頂く。今までよりあっさりしてヘルシーな美味しい出汁を飲んでいると、渦が帰ってきた。「ただいまぁ」との相変わらずな挨拶。「んー」とだけで終わらせようと思ったけど「おかえり」ってまでいう。ズズッと麺を啜る。渦の不思議そうな顔が浮かんだ。その一拍置いたあとで渦がキッチンを覗き込んで「あーっ!!」と悲しい声を上げた。
「そ、それ! 俺が買ったヤツじゃねぇか!!」
「ごめん」
「食べるの楽しみにしてたんだぞ!?」
 あー、くそぉ。ちくしょぉ。なんていって頭を抱えて、蹲ってしまった。本当、ごめん。けど食い意地に勝てなかった。 

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