明日、名前は戻ってくる。あんちゃん、迎えにいってくんねえ?あいつ、素直じゃねえんだ。


あの男から言われたもののどうにも実感が沸かない。名前はいつも何も大事なことは言わないし、それをあえて詮索しないのが今までのやり方だった。だけど、完結した出来事だったはずなのに、もうあれから結構経ったのに、一縷の望みにかけたいと思っている。





入国ゲートがぞろぞろと人が続く。必死になって探すも、当の本人は見つからない。時間間違えたか、それとも乗ってなかったのかと、焦り始めた時だった。






「おにーさん、」
久しく懐かしい声が聞こえた。
髪型も変わった。顔の雰囲気も以前より落ち着いていた。けれど、へらへらと笑う笑い方は、変わらない。



よくお留守番できました、とぽんぽんと頭を撫でる。


「やっぱり、犬かよ。俺は」

「銀時は私の飼い犬なのだ」



そういって、ああそうだと思い出したように、コートのポケットの中をごそごそし、それを取り出して、にやりと笑った。



ご褒美、なあんてね。


俺の顔の目の前に差し出されたものは、プラプラと揺れた。こんな鍵一つで喜んでいる俺は、結局は名前のポチなのである。