この痛みが美しくなる頃にも | ナノ




久しぶりの甘い食べ物に男も女も大喜びだった。毎日すいとんに雑炊、あるとすれば焼いたさつまいもが唯一の甘いものだった。


今日坂本が太っ腹に闇で仕入れたものは、とびっきり甘いあんこが沢山詰まった桜餅。昨日イヨちゃんが言っていた明日はいいことがあるというのは、このことだったのか。私も一つ頂いて、懐紙に包み縁側へと向かった。



暖かい縁側でゆっくりと桜餅を食べようと縁側にやってきたのにもかかわらず、既に先客がいた。両手に桜餅を持って喰らう姿にいつもの、つんとした雰囲気はなくまるで子どものようだった。


私が隣に座ると一瞬動きを止めてこちらをみたが、すぐに動きを再開し餅を食べ尽くした。しかし、その後すぐに盛大な腹の音が縁側に鳴り響いた。



「あげる」

先程頂き紙に包んだ桜餅を取り出し、白髪頭も前に突き出した。


「この前のお礼」

そう言うと、一瞬顔を罰の悪くして私の手から桜餅を奪った。そして、またもや呑み込むように餅を食べた。


餅を食べた後男は空腹も満たされ満足したのか、そのまま縁側でごろんと寝っころがり、鼾をたてて寝てしまった。昼下がりの日光に照らされた銀髪が美しく輝いていた。

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