この痛みが美しくなる頃にも | ナノ




「白夜叉とは仲良くしいや」
そう言ってここを離れたイヨちゃん。あれから数ヶ月。


買い出しの量もめっきり減った。兵士の口先だけは未だに調子がいいが、多分そろそろ限界だというのは薄々感づいていた。以前よりも、食糧、生活用品の支給も減り兵士たちの態度も荒くなり、環境は悪化する一方だった。みんな、私を含めて精神的にも身体的にもきていた。それでも、私が未だに耐えられているのは、多分銀時のおかげだと思う。









私達は真夜中にそうっと寝床を抜ける。そして、近くの川岸までいってふたり寝そべって黄色い月を見る。そして、他愛ない話をする。銀時と話していると普段の憎悪や嫌悪を持った私の汚い心は嘘なんじゃないか、本当の自分はこれなんじゃないかと思うことも屡々あった。




銀時の話の話題に出てくるのが多いのが高杉晋助である。彼とは村塾時代からの付き合いらしい。彼はわりと整った顔立ちで女受けも良く色気もあるが、実は一人で厠にも行けないんだとか。その話を聞いた次の日は真面に顔も合わせられなくて、何だ、俺の顔に何かついてんのか、と怪しまれた。




あとの大半の話は甘いものの話だ。何でも最近、ちょこれいとぱふぇというものを坂本に奢ってもらったらしくそれが夢にまで出てくるという。いつか裕福になったら、それをたらふく食べたいと銀時は月に向かって叫ぶのである。




今日も甘いものに対しての情熱を語った銀時。その後に、ぽつり銀時はひとりごとのように言った。



「戦争が終わったら何でも屋っつうのやってみてえな」


困っている人を助けるの?そうきけば、まあな。と月明かりに照らされた顔がこちらを向きへらっと笑った。





いつかとか、この先のこととかわからない。けれど、せめて銀時には幸せな将来があるようにと私は柄にもなくひっそりと月に願った。

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