「銀ちゃん。酢こんぶ切れたネ!金よこすアル」
「あ〜神楽ちゃん、今銀さんに何言っても無駄ですよ」
「おい、さっさとよこせヨ!ニートの上にうじうじしてたら、お前ニョッキ以下アル」
「それパスタだから。正しくはニャッキだから。ていうか、このネタ分かる人いるの?」
ちくしょう。餓鬼どもが騒ぎやがって。いつもなら、うるせえっいって黙らせるが今はそういう気にもなれない。
何だかさっきからすっげえ胸糞悪い。それは、多分さっきのあのことが原因だということは俺にも薄々自覚していた。
今日は珍しくついてたらしく、パチ屋でそこそこ当たった。何に使おうかと考えた時、ふとこの前名前が簪を壊してしまったと言っていたのを思い出した。女の好みとかは俺にはわからねえけど、自分なりに名前に似合う奴を選んだつもりだ。早速、帰りにどうせ通り道だし名前のとこに寄って直接渡そうとしたら、何だかいてはいけない現場に来てしまった気がするのだ。
なんつうか、大串くん?が女が好きそうな小包み出して、名前に渡してて、名前はそれに喜んでて。ていうか、あいつら知り合いなの?何で仲良さそうなの?いや、別に2人がどうしようが、勝手だけど。何か気持ち悪い。すっごく胃の中が重くて、どろどろに溶ける感じ。
「銀ちゃん、これ何アルカ?」
「プレゼントですか、銀さん」
「ちょっと、神楽ちゃん!返しなさい!」
「ていうか今日仕事ないのに、何で今日渡してこなかったんですか?」
「うるせえ!メガネ。大人には大人の事情があんだよ!」
ちょっと、メガネ関係ねえじゃん!ていうか、プレゼントひとつ渡せない中2に言われたくねえんだけど!とぶつくさ言う。
「分かったよ、渡しゃあいいんだろ。渡しゃあ。だったら、渡してやろうじゃねえか」
別に、渡せない理由があるわけではない。ただ、今更気づいた気持ちにどうしたらいいか戸惑っているのだ。名前は、今俺のことどう思っているだろうか?もう、好きじゃないなんて言葉は聞きたくない。けれど、名前は俺に告白してきた。だから、今回は俺が頑張らなきゃならない順番なのかもしれない。明日、朝一に行こう。それで、きちんと伝えよう。