今日も銀さんは来ないのだろうか。来ないというより、来れないのか。何だか、告白して銀さんと疎遠になってしまった。やっぱり、告白なんてしない方が良かったのか、悶々考えていたら、「あんこ2本くれる?」と久しく聞いていなかった声がした。
「よお」
「お、お久しぶりぶりです」
久しくぶりの銀さんとの会話で緊張する。何か髪とか変じゃないかな。そう考えてたら、やっぱ、ここの団子はうめえな、と銀さんはいつもよりもハイペースお団子を呑み込み、いきなり喉を詰まらせてしまった。どうしたものだろうと、直様お茶を持って差し上げると、私の持ち方が悪かったのか、湯呑を滑らせてしまった。どうしよう。せっかく、久々に銀さんがきてくれたのに。私、最悪だ。
「すいません。今、布巾をお持ちします」
そう言って店に戻ろうとしたら、裾をきゅっと引っ張られた。
「あの、銀さん?」
「悪い。今日、俺緊張しちまっててさ」
緊張?銀さんが?何で…
「これ、やる」
着流しをごそごそとしたかと思えば、銀さんが紙包みを差し出した。
「包装ぐちゃぐちゃで悪いけど、中身は多分大丈夫だから」
「え、と」
「お前、簪壊れた言ってたろ?」
嘘。覚えててくれたんだ。
「銀さん、ありがとう。大切にするね」
「ああ。あ、あと、」
「あと?」
「好きになっちまったみてえなんだよ」
へ?
「名前が好きだ、だ、だから、あんま土方くんに近づくなよ!あいつ、実はとんでもねムッツリだからな!」
銀さんの顔は真っ赤に染まっていた。けど、多分私はもっと顔が赤いに違いない。苦しくて怖かったけど、告白して良かった。
私も銀さんが好き。っていったら、銀さんにぎゅうってされた。少し痛いけど、幸せだからいいかな。