日だまり色 | ナノ






「うえ…、このクソ暑い中森散策とかなんの苦行やこれ…。」
「金造くん、私に比べたらマシやと思いますやろ?」




人を襲うという虫豸を探して、早一時間。半袖の動きやすい私服とはいえ、暑くてだれて来た候補生二人に対し、松雪は法衣に祓魔師用のコート、更には輪袈裟まで着用しており、流石に汗は流しているものの息は乱れていない。
人間じゃないなんて酷いことを考えながら、体力がないため二人の後ろを歩いていた日向は、金造に笑っていない笑顔を向けた松雪にやっぱり暑いよなとちょっと安心した。




「上だけでも脱いだらええですやん。」
「いややよ。これ着てないとなんや祓魔師って感じしぃひんやん。」
「あはは、松雪姉さん頑固やから言っても聞かへんよ。」
「………日向?」
「ごめんなさい。」
「日向!」
「そない怒鳴らんくても、いやごめ、」




キィン!
日向の耳元で金属音が響く。慌てて後ろを振り向くと、一匹の巨大虫豸の攻撃を錫杖で食い止める金造の姿。


呆然とそれを見つめていると、松雪が鋭く「アホ、早よ構え!」と叫んだ。




「金造くん退りよし、こいつ親玉やえ!………って言わんこっちゃない、なんやちっさいのがぎょーさん出て来よったわ!」
「松雪姉、どないする!?」
「こいつは私が一対一で倒すから、二人はちっさい奴らの相手頼んます!日向、しっかりね!」
「おん!」




さあ、幕が上がるよ
(狂宴の、はじまり。)







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