日だまり色 | ナノ






入学式が終わり、昼時。やはりというかなんというか、金造と見事に同じクラスになった日向はため息を吐いた。
人見知りなために、友達が出来ないのだ。周りはもう幾つかグループも出来はじめている。


中学の頃は小学校から持ち上がりだったからよかったが、高校はそうでない上地元校でもない。知り合いは、金造一人。その金造も持って生まれた社交性で早速友達が出来ている。




「あああー…ほんまどないしよ、お先真っ暗や…。」
「なにがや、つーかキノコ生えそうやぞしんきくさい。さっさと塾行くで。」
「えげつな!キノコなんか生えたりしぃひんわ金造のいけず!」




キッと頭一つ分でかい金造を睨み上げると、荷物を持って席を立つ。今日は初めての祓魔塾もあるのだ。
教室を出て、金造から離れようと大股で歩く―――が、コンパスが違うためにあまり意味は、無いようだった。





◇◆◇





「ねぇねぇ、えーと、不知火さんだっけ?」
「うぇっ、あっ、はい!」




授業が終わり、先生が教室から出ていったと同時に近くに座っていた少女に声をかけられた日向は肩を跳ねさせた。
突然だったことと、知らない人に声をかけられたことで相当驚いたらしい。


その様子に慌てた少女が、「あ、ごめんねびっくりさせちゃった?」と眉を下げると、日向の前に座っていた金造が振り向きノートで日向の頭を軽く叩いた。




「った!」
「堪忍な、こいつ人見知りやねん。あ、俺は志摩金造言います、よろしゅうなー。」
「よろしくねー。私は和泉朔夜って言うの。いきなり話かけてごめんね、よかったらお友達になれたらなって思ったんだけど…、」
「えっ!?」




目をこれでもかと見開いて、辺りをきょろきょろ見る。それから、「あ、私?」と恐る恐る首をかしげた。
それににこりと微笑んで、「いやかな?」と朔夜が聞けば、日向は「い、いややない!いややないよ!」と花が咲いたように笑う。




「あんな、私不知火日向言います、よ、よろしゅう頼んます…っ!」
「ふふ、じゃあ日向ちゃんだね!あ、私のことは朔夜でいいよ。」
「う、うん…!朔夜ちゃん!」
「なんや、友達出来たやんけ。これでキノコ生やさんでもようなったな。」
「うるさいアホ金造のアホ!」




嬉しさから上気した赤い頬のまま、照れて目をそらしつつ金造をぺしぺしとごく弱い力で叩く。その様子にふ、と優しく笑みをこぼした金造は、朔夜の視線に気づくと慌てて口を真一文字に引き結んだ。


そんな二人を見ていた朔夜はクスクスと笑って、「そういえば、」と話を切り出す。「?」と頭に疑問符を浮かべた日向と金造が朔夜に視線を向ける。




「日向ちゃんと志摩くんって、付き合ってるの?」
「「ぶっ!?」」




真っ赤な顔で全力否定
(説得力は、皆無。)







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