「シン…まだお仕事かな…」


深夜の王宮の廊下を一人歩く。
今日は満月の光で明るい。

本当は子供はもう寝る時間帯なんだけども、なんだか寝付けなくなって部屋から飛び出してしまった。

最初はこっそりとシンの部屋に入ったけど、姿がなかったのを確認したのでいつもお仕事している部屋に向かう。

こんな時間にうろうろして、もしジャーファルさんに見つかってしまったら怒られてしまうことも承知でシンが居るであろうと思い当たる執務室に向かった。


「…シンー…?」


大きな扉を力一杯開けるとシンが机に突っ伏している姿を見えた。
私は慌ててシンに駆け寄り、遠慮がちに体を少し揺らすと眠っていたのか勢いよく顔を上げて見渡してから私に気付いて何度か瞬きをする。


「…う、うん…名無し、か…?うわっ!?」

「シン…!」


なにもなくて良かった…!


何もなかった安心からか思わずシンに抱きつく。

シンは「名無しは甘えん坊だな」と言いつつ私の頭をなでなでしてくれた。

頭を撫でられることは好きだけど、やっぱりシンの大きな掌で撫でられることが一番好き。

嬉しい気持ちを抑えられなくて、しがみつくようにさらに抱きついた。


「名無し、こんな時間まで起きていたのか?ちゃんと寝ないとダメだぞ」

「寝れなくて…あとシンに会いたかったから…」

「…名無し…」


シンの声が少し低くなった時にハッ、と我に返る。

やっぱり仕事を邪魔しているんじゃないか、と改めて思った私は名残惜しいけどシンからそっと離れようとした。

が、それは叶わなかった。

私が離れた拍子にシンは軽々と持ち上げ膝に乗せた。


「シン…?」

「名無しはいけない子だな…でも今回だけ許そう」


そういいつつシンはぎゅっ、と私を包み込むように抱き締めた。
シンとの体格差は当然あるので体の小さい私はすっぽりと収まる。
シンに私の煩いくらいの鼓動が聞こえてないか、今更ながら凄く恥ずかしい。
でもこの心地よい場所から、シンから離れたくない。

そんな想いを込めて彼の胸板に頭を擦り寄せると、同時に顔をあげられ深い口付けが降ってきた。



深夜のひととき
(シン…んっ…あったかい…)
(んー…?名無しもあったかいぞ)





すみません、幼女夢主は私の趣味です←



11.6




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