04.セクハラと酔っ払い



先日ライナーがなまえの好きそうなお酒を半ば衝動的に買ってみた。ベルトルトとアニには病気か、と笑われたが、試しに飲んでみると程良い辛口で後味無くすっと喉を通る、きっとなまえなら気に入るんじゃないかと思う味わいだった。そして今日、なまえを家に呼んで一緒にそのお酒を飲んだ。なまえもその味を気に入って早いペースで空けていった。

程良く酔ったところでなまえがライナーに寄りかかる。あわよくば…なんて下心が少なからずあった彼はドキッとして、隣のなまえを見やる。眠いのかと考えたが、自分の背中をペタペタと触る彼女の手。自分に邪な気持ちがあるせいか、心なしか誘っているようにも思えてしまう。これはもう行くしかないんじゃないか?とライナーがムラムラし出した頃。


「ライナー、お願いします」
「(敬語可愛い…じゃなくて)え、何を?」
「………お尻揉ませて」
「え?」


一瞬自分の耳を疑う。揉んでじゃなくて?とか思っている間にもなまえのおねだりは続く。上目遣いという手法は反則的に可愛いのだが、内容がどうにも物騒である。


「………ダメ?」
「あの、何で急に俺の尻を、」
「んー、なんか気持ち良さそうだから」


つつ、となまえの手が下がっていき、ライナーのベルトにぶつかる。


「おねがいおねがい」
「お願いって言ったって、俺は一体どうすれば」
「ちょっとうつ伏せなってくれたらいいから」


嫌な予感がしつつうつ伏せになったライナーの背中に、案の定なまえが座る。これで自分が仰向けなら夢のような体勢なんだが、と考えて止めた。なまえの手がジーパン越しにお尻を触ったからだ。
ほうほう、と言いながらお尻を撫で回すなまえ。いくら固い生地越しとはいえ、彼女の手が自分のお尻の上を動き回っていると考えただけで、ライナーはなんかもういっぱいいっぱいだった。


「なまえさんお願いだからもう止めて…」
「まだーもうちょっとー」


止めようと動くと背中が傾いて、なまえが黙ったままのしかかりに力を込めてくるのでライナーは何もできない。ふっと手の感触が無くなってやっと気が済んだかと油断した瞬間、彼は情けない声をあげることになった。より明瞭な揉まれてるという感覚。


「あ、ちょ、なまえ何」
「へー、思ったよりやらかい」


なまえが、ズボンの隙間から手を差し込んで下着の上から触っていた。こねるような手つきに赤面して、ライナーが枕に顔を埋める。やめて…と弱々しく呟いても楽しそうに弄る手を止める気配は微塵も感じられない。だんだんライナーの息が荒くなって、蚊の鳴くような声でなまえの名前を呼んだ。


「どうしたの」
「………頼む」
「何を?」
「…俺にもなまえのお尻、触らせて」


ライナーの熱っぽい視線を受けてなまえが首を傾げる。そのままうーんとしばらく唸ってから、にっこり微笑んでこう言った。


「ヤダ」




セクハラと酔っ払い
これじゃあ全然(理性が)保たねえ…
ここか?俺の(理性の)最後はここなのか……?






(お題配布サイト「TOY」★恋人同士で飲む5題 より)








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