片思いクラッシュ!(拍手ss)



ここ2,3週間、ある事で悩んでいる。気のせいとか、自意識過剰とか言われてしまったらそれまでなんだけどどうやらそうじゃないらしい。
…あ、ほらまた。


「………はあ」
「あんた最近溜息つき過ぎ」


隣でつまらなさそうに呟くのは同期のアニ。成績は常に上位だし綺麗だし、非の打ち所がない。当たりのキツい言い方と足癖の悪さだけは私も恐れるところだけど。


「悩みがあるなら聞かなくもないけど」
「アニ優しいっ…」
「いつもへらへら呑気に笑ってるあんたが思い悩むなんて、気持ち悪いし」
「アニ酷いっ」


ここ、こういうところがアニは怖い。…まあ、照れ隠しでわざとつっけんどんにしてくるんだって事は分かってるけど。


「で、何。」
「ここじゃなんだし、部屋まで行っていい?」
「分かった」


パンの残り一欠片を水で流し込んで、アニと食堂を出た。気にするなと言い聞かせてはみたものの、やっぱり気になってしまってそうっと視線を動かしてしまい、また溜息の数が一つ増えるのだった。





「…ライナーの、事なんだけど」
「あれがどうかした?」


あれ呼ばわりなんて容赦が無いな、アニは。そう思ってふふっと笑ってしまったけど、彼女はむすっとしたまま私を見てる。


「なんか、最近よく目が合うというか…ずっとこっちを見てる気がするの」
「………うーん」
「寝癖はちゃんと直してるし、襟も立ってないしジャケットが裏返ってるわけじゃないし…ねえ、ボタンほつれてないよね?」
「いや、大丈夫だけど…」
「さっきも出る時に目が合って。気づかないうちに私が何かしちゃったのかな…」
「…それってさあ」


アニが、立膝に頬杖というなんともイケメンなポーズを取りながらボソッと呟く。大きくはないけどよく通る声で、静かに。


「ライナーに好かれでもしてるんじゃない」
「…ええぇぇぇっ!?」
「少なくとも私なら、嫌いな相手ずっと見るなんてしないけど」
「でも、でもライナーだよ?私、喋ったこと全然ないよ!?い、いったいなんで」
「さあ…そのへんは本人に聞くしかないね」


アニの言葉に戸惑いを隠せない。いきなりすぎてにわかには信じ難いし、寝癖がついててジャケットが裏返しで襟が立っててボタンがほつれてたから見てたんだって言われた方がまだ信じると思う。ていうかここまで考えて結局勘違いだったら私本当に恥ずかしい人だよね…


「…私が確かめてあげようか?」
「えっいいの?」


アニがこくこくと頷く。どうや
らライナーに私のことをどう思ってるか、聞いてくれるらしい。


「あ、ありがとうアニ…ごめんね?わざわざ」
「構わないよ。じろじろ見るなんて失礼な奴、制裁の一つでも加えてやらないと」
「………本当に質問するだけだよね?」


心配するなとアニは言ってくれたけど、なんだかちょっと違うところが心配になってきたぞ?とにかく、こうしてアニの協力を得た私は、目下最大の悩みを解消すべく
動き出すことにしたのだった。





片思いクラッシュ!









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