痴話喧嘩ップル



「だいたいお前いっつも生意気なんだよ!!」
「はあ!?あんたに言われたくないんですけど!?」


みんないつもの光景だと慣れ切って、気にせずパンとスープを口に運んでいた。唯一止めようと努力してくれるマルコの声は残念ながら二人には届かない。


「対人訓練で受け身くらい取らなくてどうすんだよ!?」
「あなただってちょっとコツを掴んだからって、立体機動装置を甘く見過ぎじゃない!?ちゃんと整備してる?」


お互い胸ぐらを掴みあってキスでもするのかってくらい顔を近づけている。もういっそのことそのまま塞いでおいてくれと願うのは、珍しく隣の席になってしまったベルトルトだった。


「お前女だろ?いっつも怪我ばっかしやがって傷が残ったらどうすんだよ!?」
「はあ?何、傷が残った私とは結婚できないってわけ?」
「んなわけあるか!俺がもらうに決まってんだろ!!」


事の発端はいつも可愛いもんなのにどうしてこうなるんだろう、とベルトルトの向かいに座るライナーは夢想する。ちなみに彼は会話の内容は全く聞いておらず、声の大きさだけで喧嘩の度合いを判断している。内容は…正直聞くに耐えないと思っているので。


「き、君たちが好き合ってるのは分かったら一旦落ち着いて…」
「おい何言ってんだよマルコ」
「そうよ、こんな奴好きなわけないでしょ」


あくまで怒りは本人にしか向けず、マルコには日常会話の範囲内で返答する二人にミーナの隣で傍観していたアニが感心する。が、その数倍の呆れをすぐ顔に出した。


「愛してんだよ!!」
「愛してるのよ!!」


エレンとアルミンが同時にスープを吹いた。噎せ始める二人を見て、ミカサがどうしたらいいか分からずオロオロしている。惨事の原因である夫婦は自分の発言なんか気にしていない。ただ同じ言葉を同じタイミングで発した自分の相方を、真似すんじゃねえ、そっちこそと睨みつけるだけだ。


「上等だ、お前より俺が愛してるって分からせてやる」
「私の愛の方が大きいから、覚悟なさいな」


怒り心頭のご様子で二人は食堂から出て行く。力無く座り込んだマルコの肩に、慰めるようにライナーが手を置いた。


「マルコ、お前は間違ってない。ただ…愛の形にも色々あるから、ジャンとなまえも、あれはあれでうまくいってるんだろう」
「違う、違うんだライナー」


はああっと溜息を深くつくマルコ。その嘆きは悲痛さを伴って食堂に吸い込まれる。


「二人の声が、丸聞こえなんだよ、隣の僕の部屋まで…特にジャンなんかなまえ触ってなまえ気持ち良いなまえイきそうって、なんでそんなこと一々実況されなきゃいけないんだ」


その場にいた誰もがマルコを憐れみ、もうあの喧嘩ップル隔離しようと思案し、ああ明日も訓練があるから早くお風呂入って寝ようと言って、その話から逃走した。マルコは、ちょっとだけ泣いた。ジャンもなまえも、そんな隣人の気なんて知らずに啼いていた。




20130705 下ネタ落ちでごめんなさい。私の精一杯のギャグ(震え声)










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