日和 閻鬼
※鬼男くん転生直前
「おにお、くん」
僕に手が伸ばされる。
大好きな白い手が。
けど、僕にはもう、伸ばされた手を取る力が無いんです、大王。
微かに動いた唇だけでは、伝えられることなんか無くて。
ありがとうとごめんなさい。
それすら言えない、悪い子でごめんなさい。
それでも必死に口を動かそうとしたら、
「いいよ。頑張らなくて。最後まで、頑張らないで?」
大王は本当に優しいんです。
大王は本当に奇麗な、優しい人なんです。
その大王が僕のために泣くんです。
僕は悲しくて悲しくて。
「だ…いお……」
「鬼男くん、お疲れ様。今までありがとう。愛してるよ」
大王には沢山のものを頂きました。
沢山、愛してもらいました。
だけど、今にも
こぼれようとしているぼくといっしょに
2011/6/6
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