シーツの海で散々泳いだ。
疲れたし、ちょっとパリパリするけども精神的には満足で、もう眠ってしまいたいんだけど……。

「何、してんの?」

耳をなぞるコットンとオキシドールの匂い。
耳朶を念入りに拭われてくすぐったい。

「痛いだろうが、我慢しろ」

答えにならない答えを返され、身を起こされた。
そのままベッドに座らされる。

「痛いって何?」

これ以上なんかすんのかよ。
腰は辛くてたまらないが痛いってもんでもないけどな。

ぼんやりとした俺の前で、道也がサイドボードから取り出したのはピアッサーだった。

「俺に開けんの?」

「あぁ」

大して抵抗もせず(というかする体力がない)、身を任せた。
ちくり、としたかと思えばズブッっと耳を貫通する針。
少し休んでもう一度繰り返した。

「……っ…いってぇよ…!」

「それは悪かったな」

全く悪いと思ってねぇだろ……。

針を引き抜き、未だに血を流している傷口にピアスをねじ込まれる。

透明と、緑色の宝石。
部屋が暗いせいで、2つとも鈍く黒く、光沢で濡れたように光っていた。

「エメラルドとジルコンだ。お前の黒髪に良く映えるように……」

幽かに笑うその顔にぐらぐらした。
今まで、跡なんか付けられた事無かったのに。
首輪を貰った猫の気分。
どこへ行っても飼い主は変わらない。

「みちや、俺も今度開けていい?」

「私に?」

「そう」

「好きにしろ」

返事を聞いた瞬間、目の前の耳にかじりついた。

……  何色のピアスがイイ?


ノワールに溺れて
(暗い部屋の中)
(貰ったものの黒いの甘さに溺れたことしか)
(思い出せない)




***
お題と違うような気がするのは仕様です(`・ω・´)
……力量不足でしたすみませ…

てか事後のピロートーク多いですよね私の久不。
二人とも布団好きだな……!

2011/6/29





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