百年、待つのだろうか。
そう思ったのを覚えている。
思えば変な夢だった。
栗色の髪の少女を抱き上げた雪のような髪の少年。
焼けた幼さの残る顔立ちは、感情が無くいっそ不気味だった。
少年に少女が囁いて、
息を絶った。
彼は白い貝て穴を掘り、眠る少年を埋葬する。
墓の上に白い石のようなものを乗せると、石は紅く染まって。
少年は酷くつらそうだったけれど、ゆうるりと微笑んだ。
幾時過ぎたか、幾年過ぎたか。
時間の感覚は無い。
黒々とした目を伏せて、少年は墓の前で待ち続けた。
何かをじっと待っていた。
俺は、何かが羨ましくなっていた。
狡いではないか、俺には彼が酷く淋しそうに映る。
彼が淋しいのが辛い。なぜだかは知らない。
彼は辛いのに、何かを必死に待っている。
狡いではないか、そんなに彼に思われるなど。
愛情のベクトルが違う事は、解っていたけどふと、百合の花が咲いた。
香り立つ百合の芳醇。
目を眇める。
彼は、嬉しそうに綻ぶ。
俺はあまり面白く無いが、理解出来るので何も言えない。
妹が帰ってきたら、嬉しいだろう?そして彼は振り向いた。
最初から気付いて居たかのように。
言の葉を、落とす。
「なぁ、鬼道」
「なんだ。」
「待っていてくれるか。待って、いられるか。」
「あぁ。待っている。」
気付いたらそう答えていた。
なんてことは無い、彼の為なら幾らでも。
幾らでも待とう。
それで、この慕情を伝えられるなら。
彼はそれしか、知らないようだから。
(白い石は星の欠片)
(墓に泣くのか、破瓜に泣くのか)
***
ぶっちゃけ時系列は豪炎寺消えてた辺りです←
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