第4話
戦が終わり、兵達が帰ってきた。
「父ちゃんおかえりー!」
そう言って、帰還した兵に抱きつく子供や笑顔で夫の無事の帰還を喜ぶ妻がいる中で、
下を向き、ただただ悲しみをこらえている女子供も少なくない。
私に気軽に話し掛けてくれた兵の何人かも命を落とした。
だが、私の悲しみなんか、夫や父親を失った者達の悲しみのほんの僅かにも及ばない。
何とかして、彼らの悲しみを取り除きたい。
そう思い、私は考えた。
しかし、私には何も為す術がない。
そう分かった時、私はとてつもなく悔しかった。
自分は何故こんなにも無力なのだろう。
こんな状態を目の当たりにしているにも関わらず、自分は何故何も出来ないのだろう。
自分を責めても何もならないのに、ただ自分をひたすら責める。
そんな日々が、幾日か続いた。
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