第1話

いつも通り、私は本を読んでいた。

ここの部屋からは、海や町がよく見える。

私は、この部屋が好きだ。

ふと眼をやると貿易船が到着した。

船長らしき男が出てくるのが見える。

「また、いらしたのね…。」

私は、ため息をつく。

あの船は、我が国と貿易をしている長曾我部軍の船だ。

正直、私は好きではない。

むしろ嫌いだ。

特に主将の長曾我部元親が。

小さい頃は、よく一緒に遊んでいたらしい。

当時は、姫若子と呼ばれ、女の子のようだった彼と。

私だって覚えている。

だが、今の彼は昔の彼ではない。

男気にあふれ、「鬼若子」や「西海の鬼」などの異名をもつ長曾我部軍の主将だ。

ここまでは別にいい。

むしろ、たくましくなって立派なことだと思う。

だが、彼は、海賊のような野蛮な気質になってしまったらしい。

私の友達の鶴姫ちゃんが

「あの人は、すっごーく悪い海賊さんなんですよ!!!紗夜ちゃんも気を付けてください!!!」

と言っていたのをよく覚えている。

確かに、あの掛け声や服装からして、私からも海賊に見える。

海賊は、野蛮で、海を荒らす。

私は海賊が嫌いだ。

だから、私はできるだけ彼に近ずくまいと心に決めていた。

だが、彼はこの地に来るたびに、私のところにやってくる。

どんなに冷たく扱ってもだ。

本当に鬱陶しくてしょうがない。







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