本文

大好き。

愛している。

今でも、ずっと。

なんで振られたんだろう。

上手くいっているように見えたのに。

私は、佐助の事愛しているのに・・・。

でも、

佐助はもう私のことを見ていない。

でも、

私は佐助の事が好き。

愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる

どうしたらいいだろう。

佐助は、私のもの。

誰にも譲らない。

ならば・・・。

急いで包丁を持ち、佐助の家に向かう。

幸いなことに、佐助の家は近い。

佐助・・・。

一緒になろうね・・・。

私は、ここ最近見せることがなかった笑顔を見せた。




-佐助目線-

俺は部屋に寝転がり、ただ天井を見上げる。

何もすることがない。

紗夜と付き合っている頃なら、

どこかへ遊びに行ったり、

互いの家を訪れたりしていた。

彼女と別れた今、暇で暇でしょうがない。

俺から彼女を振った。

大した理由はない。

ただ、あの頃の、彼女がいるという状況に飽きが来たからだ。

ずいぶん身勝手な理由だと自分でも分かる。

まあ、こんなことを今さら考えてもしょうがない。

もう一度寝よう。

そう思った時だった。

ピンポーン

誰だろうか。

真田の旦那か?

ドアを開けてみると、別れたはずの彼女がいた。

まだ、

「別れたくない。」

とでも言うのだろうか。

そう思っていると、

「…佐助。」

俺様を呼ぶ彼女の声が聞こえ、一瞬彼女の微笑みが見えた。

その時。

俺様の腹部に激痛がはしる。

完全に油断していた。

まさか、こんなことになるなんて思いもしなかった。

激痛に顔を歪めていると、

「なんで、別れなきゃいけないの?」

全く分からないというような表情で、彼女は問いかけてきた。

「私は、まだ佐助のこと、好きなのに…。」

そう言い、彼女は少し顔をふせ、包丁の角度を変える。

またしても激痛がはしり、俺様は吐血する。

彼女が顔を上げる。

その顔には、笑顔が浮かんでいた。

「ねえ…。ずっと一緒にいよう…ね…。」

徐々に意識が遠のいていく。

俺様は、もうすぐ死ぬんだろうな。

そう考えていると、彼女が俺様の頬に手を当てていることに気付いた。

その手を握ると、彼女はニコリと頬笑み、

「大好き。」

と俺様の体を抱きしめた。

彼女の温かい体温を感じる。

だが、やがて感覚が麻痺してきた。

もう彼女のぬくもりも感じない。

死が刻一刻と迫ってくるのが、手にとるように分かる。

まあ、これでいいか。

俺様は、飽きていたんだ。

くだらないこの世界に。

これを機に、違う世界に飛び込んでいくのも悪くない。

しかも、一緒に来てくれる人もいるのだから、万々歳だ。

そう思いながら、俺様は目を閉じた。





-ヒロイン目線-

私の目の前には、もう動かない佐助と血の海がある。

自然と顔がほころぶ。

やっとこの人と一緒になれるのだ。


さあ、仕上げに入ろう。

私も逝かねば。

喉元に血に濡れた包丁を当てる。

「今、逝くね…。佐助…。」



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