本文
いつもの場所で夕日を見る君。
僕は、君の元に向かう歩みを緩める。
もう少しだけ、君の横顔を見ていたいと思った。
君と一緒に居られる時間は、あとどれくらいあるだろう。
正確には分からないけれど、もう長くはないのは確かだ。
何故なら、病がどんどん僕の体を蝕んでいくから。
昔は、それでいいと思っていた。
秀吉が天下を統一してしまえば、あとはどうでもいいと。
こんな命なんて、惜しくもなんともないと。
でも、今は違う。
君ともっと一緒に居たい。
1分でも、1秒でも…出来るだけ長く…。
だが、その願いは叶えられそうにもないみたいだ。
もうすぐ、僕の命は尽きる。
でも、君にはずっと笑っていて欲しい。
僕が死んだその後も。
君が僕のことに気付いた。
駆け寄ってくれる君を、僕は精一杯抱きしめる。
いつまでも君が笑って居られるように、もっと君と一緒に居られるように。
そう願いながら。
さようなら。
僕の大切な人。
[ 6/8 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]