「待たせてごめんね」
ペンを机の上に転がして、今終わったよ、と彼は言った
うんと伸びをすると、身体中がぎしぎしと痛んだ
ずっと同じ姿勢でいたからに違いない
「さて、約束通りこっそり抜け出して散歩に行こうか?」
シオンは立ち上がり、あらかじめ用意しておいた上着を羽織る
「外は寒いだろうから、防寒対策はしたほうがいいよ」
そして、アネモネにもコートを手渡した
「すっかり冬ですね…雪降ってます」
「ローランドは南にあるけど、でもやっぱりこの時期は寒いからね」
シオンはそう言ってアネモネを手招きした
今でも十分近くにいる気がしたが、少しだけ彼との距離をつめる
すると、ふわりと首に何かかかった
「マフラーですね」
「うん、マフラーだよ」
冷えると悪いから、とシオンは言った
「コートだけでも大丈夫ですよ?」
「念のためだよ、風邪引いたら困るだろう?」
ぽん、と頭を撫でられた
「すぐそれですね」
「いいじゃないか、俺の特権みたいなものだし」
「あれ、割と皆頭撫でてきますよ?」
「ホントかい?それは参ったな」
はは、と笑ってシオンは頬を掻いた
「まぁいいや、早くしないと時間が無くなっちゃうよ」
「それもそうですね」
行こうか、と手を出されたので軽く握っておいた
外の寒さに負けないくらい、手は温かかった
お出かけしようたまには二人で
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