自分の足に躓いてしまった

持っていた荷物がばらりとその場に落ちる

「おやおや、大丈夫ですか?」

慌てて拾い集めていると、たまたま通りかかった白髪の男性が助けてくれた

「はい、これも落ちてましたよ
陛下のところへ行くのですか?」

「あ、ありがとうございます…えっと」

「ルーク・スタッカートといいます、……会ったことはありませんでしたかね?」

「…多分」

「では今から知り合いですね、私もここで働いています、何か困ったことがあれば気軽に言ってください」

ルークはにこりと笑って立ち上がった

アネモネもつられて立ち上がる

そういえば何回か城の中で見たことがあったかもしれないなと思った

確か…

「忌破り追撃部隊、でしたっけ…?」

「そうです、よく御存知ですね」

「シオンさんからこの国や世界の情勢なんかについて、教えてもらっているんです」

「なるほど」

「あの、ありがとうございました」

アネモネはもう一度礼を言った

するとルークは笑顔のままでそれに答えてくれる

「先ほども聞きましたし、もういいんですよ、助け合うのは当然ですよ」

「はい…」

ルークはそういって手を差し出した

アネモネはその手をぎゅっと握った、彼の手はとても暖かい

「さて、握手もしましたし、もう私たちは友人ということで」

「宜しくお願いします」

「そんなにかしこまらなくてもいいんですが…
あぁ、何だかそんな素直なところが隊長を髣髴と…」

「隊長?ってミルクさんですか?」

アネモネが出したミルクという名前にルークはそれはもう嬉しそうな表情をした

彼は彼女が大好きなのだ

「隊長を知っているのですか?」

「この間一緒に遊びました」

「流石です隊長…!
…っと、すっかり忘れていました、そろそろ隊長のおやつの時間でした」

今の会話でなにやら大事な事を思い出したのか、ルークはそわそわと手を組んだ

「ルークさんはミルクさんが大好きなんですねぇ」

「わかりますか?」

「そりゃもう、にこにこですし」

「…そんなにわかりやすいとは…もう少し気をつけないとですね
そうです、シオンさんに会ってきてからでもいいですから、よければ我々と一緒にお茶でもしませんか?」

「私なんかがご一緒していいんですか?」

「勿論です」

今日は余分にお菓子があるのですよ、とルークは言った

アネモネはちょっと考えたが、とても楽しそうなので混ぜてもらうことにする

「じゃあ、終わったら声をかけてください」

「わかりました」

ふふ、と二人で笑ってからその場で別れる

アネモネはシオンのところに言ったらさっきのことについて話そうかなと思った

楽しい、嬉しい話題は共有したいと思う

この先も、ここでうまくやっていけそうな気がした

後から皆で食べたケーキは、とても甘くて美味しかった




午後のひととき
さすがみんなのママ、料理は完璧です







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