1、現代パロ
2、ライナは三大ヒロインの誰かと結婚
3、結婚してても他のヒロインも普通にでてくる
4、シオンは社長
5、フェリス編




「ライナ」

耳元で声が聞こえる

「起きろ、今日はだんご屋巡りをするのだろう?」

うっすらとライナは目を開ける

すると目の前に絶世の美女がいる

美しく伸びた金髪に澄んだ青い瞳、白く透き通った肌

女神、と称してもいいのかもしれない程、美しい女性

彼女はフェリス・エリス

現在、ベッドに潜っている黒髪黒目の寝呆け男、ライナ・リュートの奥様だ

彼らはつい最近、結婚した

彼女のウエディング姿はとても綺麗だったと、ライナは記憶している

「なぁ、本当にだんご屋巡りすんの?」

「約束しただろう?」

「何か、昨日も巡ったような気がするのは、俺だけかな?」

「毎日巡っているの間違いだろう?」

とりあえず早く起きろ、とフェリスは言った

「起きないとだんごの串でお前を刺すぞ?」

「げっ…やめろって、危ねぇなぁ」

彼女は先程食べおわったばかりのだんごの串をライナへ突き付けた

彼としてはたまったものではない

彼女はやるときは本気でやるのだから

だから、ライナは渋々ベッドから這い出したのであった

「…で?今日はどこへ行くって?」

「うむ、兄様がおいしい店を教えてくれたのだ」

「ルシル・エリスか」

フェリス・エリスの兄、ルシル・エリスは極度のシスコンである

彼は二人が結婚すると言いだしたとき、大暴れした

いつも冷静を装っている彼からは考えられないほど、取り乱していた

そのルシルが今回はフェリスにおいしいだんごの店を紹介してくれたのだという

フェリスはだんごが大好物なので、喜んでその情報を受け取ったようだ

「なんて店?」

「だんご屋アスタールだ」

「アスタール?」

その単語にライナは過敏に反応した

その名前の知り合いがいるのだ

「なぁフェリス」

「何だ」

「嫌な予感がする、やめておかない?行くの」

「しかしもう目の前だぞ」

見れば彼らの目の前には大きな建物があった

どうやらこの建物が今回の目的のだんご屋のようである

だが

「どうみても会社じゃね?」

「会社だな」

そう、どこからどう見ても飲食店には見えないのだ

高くそびえ立つビルは光沢を帯び、太陽の光を反射していた

「お待ちしておりました」

茫然とそれを見つめていると、自動ドアが開き、全身黒ずくめの男がやってくる

彼はミラン・フロワード

ライナ達の友人、シオン・アスタールの部下であった

「嫌な予感は的中した」

「うむ」

「何を言っているのです?こちらですよ」

ライナとフェリスは顔を見合わせた

一瞬逃げ出そうかと考えたが、どうやら流れ的に無理な様子だ

なのでとりあえずフロワードの後ろをついていくことにする

「こちらです」

エレベーターに乗り、ついたところは最上階

そこの奥の扉を開けば、予想どおり、椅子に腰掛けたシオンがにっこりと微笑んでいた

「よくきたね」

「呼ばれてないけどな」

「だんごはどこだ?」

「全く二人ともつれないなぁ…せっかく俺が呼んだのに」

困ったようにシオンは言った

だが相変わらず顔はにやにやと笑っている

「実は仕事を手伝ってもらおうかと思ってね」

「はあぁぁぁ?」

「断る」

「あ、やっぱりそういう反応しちゃうんだ?」

「当たり前だろ?」

仕事なんて嫌だよ、とライナは言った

大体、この間も寝ずに手伝ったばかりなのだ

そうしょっちゅう呼ばれたら、たまったものではないのだ

だから心底嫌そうな顔をした

「そう言わずに、三日くらい徹夜したらおわるから」

「徹夜って時点でありえねぇ」

「私はだんごに忙しいのだ、ライナと一緒に食べに行くのだ」

二人はシオンにブーブー文句を言った

だがそれは華麗にスルーされ、話は進む

「この仕事はね、書類整理なんだけど、この仕事が無事におわれば君たちの家の近くにおいしいだんご屋さんができるんだ」

「よし、ライナ、仕事するぞ」

「洗脳早っ!?」

シオンのその一言でフェリスはやる気になったようだ

ライナそっちのけでシオンに詳細を聞いていた

「仕事中は俺が取り寄せておいただんごをお腹いっぱい食べていいよ?」

「うーん」

「いいじゃないか、フェリスのためだよ?」

「仕方ねぇなぁ」

ライナも嫌々承諾する

「じゃ、決まりね、おわったら三人でそこに食べに行こう」

シオンはそう言って、ライナに紙の束を渡した

「全く、苦労するなぁ」

ライナは受け取りながら、呟いたのだった

その後、おいしいだんごを食べながら仕事をし

無事におわってしばらくしたら本当に家の近くにだんご屋ができた

三人は再びそこに集まって談笑した

でてきただんごは口の中でほろりと溶けて、とてもおいしかった

こんな毎日も悪くないなぁと

今俺きっと幸せだなぁと

ライナは思ったのだった




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