1、現代パロ
2、ライナは三大ヒロインの誰かと結婚
3、結婚してても他のヒロインも普通にでてくる
4、シオンは社長
5、キファ編




「ライナ、ライナっ!」

ゆさゆさと体を揺さ振られた

ライナはもぞもぞと布団の中で動いた

「んあ…あと五分…」

「それさっきも言ってたよ?」

「じゃあ三十分…」

「伸ばしてどうすんのよ」

うー…とライナはベッドから体を起こした

目の前には見慣れた顔

自分の妻、キファ・ノールズが困ったようにライナを見つめていた

「もう〜何回起こしたと思ってるの?」

「えぇと…」

「とにかく、おはよ」

「あぁ、おはよう」

朝日が差し込む中、彼らは最初の挨拶を交わす

彼らはこの春、結婚した

キファの花嫁姿はそれはそれは可愛かった

ドレスが白いため、彼女の赤い髪と瞳が一層映えて

美しく彩られた花々よりも、ずっと可憐に見えた

「今日は皆で集まるんでしょ?」

「…それって今日だっけ?」

「忘れてた?」

「うん」

「じゃあ今思い出したからよしとします!二人で準備したら早いよ」

だから早く起きて?と彼女は言った

今日はシオンやフェリス、ミルクにルーク…と、懐かしの面々で飲もうと言う話になっていたのだった

「式以来だね」

「皆元気かね…」

きっと皆集まれば話に花が咲くのだろうと、そう思って、二人は顔を見合わせて笑ったのだった

「しかし、誰だよ、俺らの家でやるとか言いだしたの?」

カチャカチャと食器を用意しながらライナが呟いた

そう、実はこの集まり、自分達が住んでいる家でやることになっていたのだ

「多分シオンが押し切ったんじゃなかったかな…」

「あいつ…自分ち貸せよな、広いんだから」

「まぁ忙しいんじゃない?」

「優秀な部下が山ほどいるじゃんよ…何人か一緒に住んでるんだろ?」

ライナはいつの間にか自分達の家で開催が決まっていたのが不思議でならなかったが、キファの話ではどうやらシオンが話を進めていたようで

会ったら苛めてやる!なんて密かに思ったりした

「この家に皆入るのかね?」

「さぁ…」

色々片付けたり掃除したりしていればあっという間に時がすぎる

気が付けばもう昼間で、お腹はペコペコであった

「なんか簡単なの作ってくるね」

「サンキュ、こっちはやっておくよ」

キッチンの奥に引っ込むキファを見ながら、ライナはふぅと息を吐いた

するとタイミングよく玄関のベルが鳴って

「はいはい、今行きますよっと」

彼は持っていた荷物を所定の位置に置き、ホールへとむかった

「こんにちはー!」

「少し早いですが手伝いに来ました」

ライナが玄関のドアを開けると、立っていたのはルークとミルクであった

「差し入れです」

「おぉ、わざわざありがとう」

「受け取りましたね」

「は?」

「受け取ったからには隊長には指一本触れないでくださいね」

ルークが差し出してきたビニール袋を受け取ると、彼はにやりと笑ってそんなことを言った

ルークは昔からミルクと仲良しで、二人の関係は先生と生徒

彼は保父さんなんて呼ばれていたりもした

その名に恥じないくらい彼は過保護で、ミルクをがっちりとガードしていたりする

ライナはそれを呆れたように見ながら、中に入るよう促した

「まだ途中で、散らかってるけど」

ゆっくりしてって、とリビングへ案内した

「わーここがライナの家かぁ」

「キファもいるよ」

「私も何か手伝えるか聞いてくるね!」

ミルクはひとしきり部屋を眺めた後、キファがいるキッチンへと走っていった

「私も、料理くらいなら」

ルークもそう言ってミルクの後を追って行ってしまう

でも実際料理の作り手は足りないので有り難かった

今考えれば、自分はもてていたのだと思う

高校や大学時代に、キファを選ぶ前に

ミルクやフェリスからも好意を寄せられていたらしい

でも自分はへらへらと笑って気が付かないふりをして

選べなかったから

傷つけたくなかったから

でも、この前関係をはっきりさせなくてはと思って

ライナは答えを出したのだ

ミルクやフェリスは悲しんだかもしれない

けれど、彼女達は顔には出さずに笑ってくれて

これからも友達なんだといってくれて

嬉しくて

「俺ももう、一人じゃない」

思わず口からそう漏れて

自分で自分の台詞に照れてしまったり

「あぁ、俺ってば、生きててよかったかもな」

「そうだな」

「うわ!」

感傷に浸っていれば後ろから肩を捕まれた

いつの間にやってきたのだろう、彼の親友シオン・アスタールが微笑んでいた

さらに彼の後ろにはフェリスが大量の団子を持って立っていて

「だんごパーティだ!」

なんて言っていた

いずれにしろ、騒がしくなりそうであった

その後、わらわらと人が集まってきた

昔は好敵手でも今は友人なんて者達もいる

クラウやフロワード、ノアにレファル…

見知った顔が沢山

「お世話になります」

「陛下、差し入れです」

「俺に?」

「相手間違ってるぞお前」

なんて会話しながら酒を飲み交わす

昔の話で盛り上がって、テンションあがって

ライナやキファも楽しそうに笑った

皆が変わらずにいてくれて、よかったと思った

「またやろうぜ」

「次はシオンの家だな」

「フェリスのとこは?」

「私が兄さまに頼めると思うか?」

「だよねー」

ルシルはフェリスの兄で、今は家の後を継ぎ道場を開いていた

彼は難しい性格で、怒ると怖いらしかった

「ま、今度機会があったらな」

「結構なんだかんだ言ってって皆忙しかったりするもんね」

そんな会話をしながら、懐かしい日々を思い出して

学生の頃を語って

夜遅くまで騒いで

また集まろうと約束して

きっと、こうしていつか年をとっていくのだと、ライナは思った

今日も楽しい思い出になるに違いないと、そう感じて

やっぱり幸せだな、と思った




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