それは始まり
カタリと何かが音を立てる
それは希望
眩しい光が辺りを照らす
それは絶望
暗く重たいものがずしりとのしかかる
ここはメノリス大陸
大小様々な国がついこの間まで戦争をしていた、そんな世界
沢山の人が苦しんで、死んでいった
しかし、それは突如として終わりを告げる
勇者と悪魔と英雄が、手に手を取ってこれを収めた
今は平和、何もない、平凡な毎日
憎しみにも、悲しみにも、痛みにも、辛さにもとらわれない毎日
皆が望んだであろう世界
ゆっくりと過ぎていく時感と、優しく吹く風がそれを語る
南にある国、ローランド帝国
この国の王、シオン・アスタールは、現在中央大陸へとやってきていた
目的は砂漠
女神が向こうにすんでいる、砂漠
といっても、それはたまたま来たかっただけ
たまたま、見たくなっただけなのだ
辺りをじっと見つめる
すると、じりじりと太陽が照りつける中に、それはぽつんと倒れていた
すやすやと眠るように
黒い髪に翠のドレス、長い髪はピンクのリボンで括っている
「女の子……？」
シオンは首を傾げる
なぜここにいるのだろう
なぜこんな砂漠の真ん中に…
彼はゆっくりと近付き、倒れている女性へと触れる
息はしているようだ
「……」
触った頬は柔らく、暖かかった
しかし、彼に触られても尚、彼女は眠ったようにぴくりとも動かない
ここで会ったのも何かの縁かもしれない
いずれにせよ、こんなところに残していったら脱水症状で彼女は大変なことになる
だからシオンは一瞬考えて
それから、彼女をそっと抱きあげたのである
Snow Flake
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