「あーもう!寒い寒い寒い!?」
黒髪黒目の男、ライナ・リュートは布団をがばりと被った
長身に引き締まった身体をしている彼だが、そこからはやる気というものは一切感じられない
「もう俺ってば寝ちゃうもんね!
冬眠しちゃうんだもんね!」
彼はそんなことを言いながら布団が暖まるまでもぞもぞと動いた
と、そんなところへ、誰かがやってくる気配がする
でも彼の泊まっている宿に来る者なんて限られているので、対して反応もしない
するといきなり被っていた布団が引っ張られ、ライナは一緒にベッドからずり落ちた
「ライナ、だんごだ!」
「あー…うん?
聞こえな…すみませんその剣退けてもらえます?」
布団をはぐったのは女神と言っていいかもしれない程に美しい女性
名はフェリス・エリス、彼の旅の相棒
彼女はライナの喉元に剣を突き付けている
「ほら、早く行かないと遅刻するのだ」
「拒否権は?」
「ないな」
はぁ、とライナはため息をついた
彼女はいつもこうなのだ
でも、何だか寒い外気に触れたら眠さが吹き飛んでしまって
しかも拒否権はないらしくて
「まぁいいか、わかったよ、行くか」
「うむ!」
寒空の下、食べるだんごも悪くないかな、と彼は思ったのだった
寒いけど食べにいこうお茶でぬくぬく手をあたためてみたり
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