「結婚しよう」

雨の中、白いドレスを着た彼女が言う

しかし相手からは返事はない

「…結婚しよう」

もう一度、はっきりと

さっきよりも強く相手に話し掛けた

金の髪をたなびかせ、うっとりとしながら手をさしのばす

だがやはり相手は…

「じゃねぇぇぇぇぇ!?お前何やってんの?」

と、そこで真剣に相手に語り掛けている彼女の横から、ひょいと長身の眠たそうな目をした男が顔を覗かせた

「大体…だんごに話し掛けてどうするってんだよ!」

男は呆れたように彼女を見つめた

彼女は尚もだんごに向かい、手を差し出している

「うむ、だんごが好きすぎて辛いのだ
だから、いっそのこと結婚したらいいんじゃないかと思ってな」

彼女は男の方を一切振り向かず、彼の質問に対して淡々と答えた

「えーと…結婚ってさ、なんかこう…もっと違うんじゃないかな?」

「ふむ?例えば何なのだ?」

「あー…それを聞かれるとちょっと難しいけど…何ていうの?だんごじゃなくてさ、好きな人とっていうかさ」

ぽりぽりと頬をかきながら、男は彼女に説明する

大分あやふやな説明であったが、それで彼女は納得したようだ

「そうか…ならば、私と結婚するかライナ?」

「は!?」

そして今度はそんなことを言って、ライナの方へと向き直った

誰にしてもらったのか、ウエディングドレスに身を包んだ彼女は、普段よりも美しく可憐に見えた

「……冗談だ」

そして彼女はちょっとだけ頬を染めてそう言う

ライナはいつもこんなやりとりを彼女としているけれど、今回はあまり冗談のようには思えなくて

これ以上言葉がでてこなくて

彼女の顔も正面から見ることができなかった

この胸の鼓動は何だろう




六月の花嫁
あれ、何で意識してんの俺…







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