「ふぁ……8時か……あと16時間は寝られるな……」

長身痩躯に猫背なライナ・リュートはぼやく

「ライナ、いつまで寝ぼけてるつもりだ?
綺麗どころを用意するから今日は城に来いって伝えたはずだけどなぁ……」

ライナの顔を覗きこむのはこの国の王シオン・アスタール

「あぁ……あのしょーもない内容の手紙なら捨てちまったぞ?」

シオンの問いにぽりぽりと頭をかきながらぶっきらぼうに答える

「あーあ……フェリスもキファも悲しむぞぉ?」

あからさまな嘆息を吐くシオン

「あ?なんで、あの二人が出てくんだ?」

ライナは怪訝そうに顔をしかめる

「まあまあ、それは城に着いてからのお楽しみだって」

嬉々とした表情で、ライナを常宿から押し出すシオン

「…………なんだこれ?いや、こいつらか…………?」

シオンに言われるままに城に来たライナの眼前には、彼の見たことのない衣装に身を包んだフェリスとキファがいた

「遅れておいてなんだとはご挨拶だなライナ
後でだんごセットを私に腹一杯プおごれ」

「あ、あの……ライナ、どう……かな?
私に似合ってる……?」

二者二様の反応である

「極東にある島国の民族衣装で『ジューニヒトエ』とか言うらしい。ちなみに、その島国で言うと今日は女の子の成長を祝うお祭りらしい」

どこの習俗かも分からないはずなのにシオンは滔々と語る

「いや、フェリスもキファも似合ってるけどな……ってか、よくそんなモン調達出来たな。つか俺男だろ?関係ないじゃねーか!」

「『女の子成長を祝うお祭り』な訳だし男子禁制な訳じゃないんだ
その国のお菓子も用意したんだ
折角なんだし、お茶にでもしようじゃないか。な、二人とも」

「うむ。私は、さっきからその『ヒシモチ』と『アラレ』とやらが気になって仕方ないのだ!」

「ま、フェリスは色気よる食い気だよな……つかさ、キファそれ動き難いんじゃないのか?」

「まぁ……動き易くはないけど……でも、ライナも褒めてくれたし、それに私こういう綺麗な服好きだから気にならないかなー」

「そ、そっか……なんて言うかさ、キファ綺麗だな……」

「!?」

ライナの一言に顔を真っ赤にするキファ

「な、何言ってんだろうな……俺。今日なんかおかしいわ……」

一拍後にライナは自分の言ったことに対して後悔し、顔を赤らめる

「二人揃ってこんな顔してるの初めてだな……ライナをからかうだけのつもりだったのに、なんか良い雰囲気だし……フェリスに混ざって菓子でも食べるか……」




照れなくても似合ってる
和な感じ







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