「今日は寒いなぁ」
廊下を歩きながら、ローランド国王、シオン・アスタールはマントで身を包んだ
銀髪に金目がさらに彼の高貴さを後押しする
すると、そんな彼の元に書類を山のように抱えた友人がやってきた
「し、シオン……おわ、終わった…ぞ」
と、彼はそこで力尽きたのかばたりと倒れた
辺りに紙が散らばる
これは中々片付けるのに骨が折れそうだった
「ライナ、こんな寒いのにここで寝ると風邪引いちゃうぞ?」
ライナ、と呼ばれた長身猫背の男は、相変わらず地に突っ伏したままである
彼はシオンの友人であり、悪友である
彼は万年眠たがりで、シオンの仕事を手伝っているときも文句ばかりなのだった
「ほら、立って、俺の寝室使って良いからさ」
シオンはそう言って彼に手を差し伸べた
「うぅ…わかった…」
ライナは疲れたように彼を見上げると、ゆっくりとその手をとる
寒い中、わざわざ運んできたのだろう
ライナの手は冷たかった
「まぁ俺の部屋に着いたらお茶でも出すよ」
「おっ暖まるな」
「フェリスに頼んでだんごももらおうか」
「いい案だな〜」
なんて会話をしながら、彼らは廊下を歩いていったのだった
後にはどうしようもなく散らばった書類の山が残っていたが、彼らはすっかり忘れていた
寒い日にだって黒い人がやってきて片付けました
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