フェリス・エリスは路地裏を歩いていた

これから自分の相棒が寝ているであろう、宿屋へむかうのだ

理由は簡単、だんごをおごってもらうため

嫌がったら殴ってでも引っ張っていくつもりである

「ふんふふーん、だだだーんゴーゴー♪」

彼女はだんごが大好きである

これからライナの金で買うだんごの味を想像していると、つい歌を口ずさんでしまった

「よし!ライナ起きろぉぉぉ!!」

そんなことをしているうちに、宿屋の前へとやってきた

彼女は勢い良くドアを開ける

しかしその先はもぬけの殻であった

「…逃げたか……」

布団をはぐったり、下を覗き込んでも誰もいない

「会ったらだんごの刑だな!」

せっかく誘いに来たのにつまらない

どうやって苛めてやろうか、なんて思いながら、フェリスは部屋から出ていった



その頃ライナ・リュートは路地裏を歩いていた

理由は簡単、自分の部屋で寝るためである

「シオンの奴、徹夜させやがって…」

そう、先ほどまで彼は仕事に狂った王様、シオン・アスタールの手伝いをしていたのだ

彼は隙あらば自分の仕事をライナにおしつけてくるのである、彼としてはたまったものではない

だから今、その仕事から解放されて、ふらふらなのである

しかし、寝る前に小腹が好いたので彼はちょっとだけ寄り道してきた

「ま、たまにはいいよな」

両手に抱えているのはだんごの箱

しかも自分の相棒の行きつけの店だ

「眠いテンションで行ったら買いすぎた気がするな〜…ってフェリス?」

と、そんな彼の目の前に自分の相棒であるフェリスが立っていた

「…逃げたのかと思ったが違ったようだな」

「んあ?お前俺の部屋に行ったの?」

「うむ、一緒にだんごを買いに行こうと思ってのだ」

少しむすっとしながら彼女はそう言った

彼女は幼少期の体験から感情が極端に少ない

けれど、ライナや仲間と一緒に過ごすうちに徐々にそれを取り戻してきているようだった

「あ〜そうだ、だったらこれやるよ」

「む?」

「お腹空いたから買ってきたんだけど…俺一人じゃ食べきれないからさ、一緒にどう?」

さっとライナは持っていただんごの箱を彼女へ差し出した

するとフェリスはそれを受け取ってじっと見つめる

「……礼は言う」

「はいよ」

「ふむ…やはりうまいな」

「せっかくだから部屋来て食べれば?」

「よし、ならば茶でもいれてやろう」

フェリスはさっきまでとは打って変わって、嬉しそうに彼の部屋へと歩き出した

「ホント好きだなぁ…あいつらしいけどさ」

ライナはそんな彼女の背中を見ながら、そんなことを言って

「あっ…でも、あいつが部屋にきたら俺寝れないじゃん…」

肩をすくめたが、どうも今日は気にならなそうだった

「ま、いいか、あいつが楽しそうなら」

今日のお茶とだんごがひときわ美味しく感じたのは、きっと彼だけではない




たまには自分から
だんごmgmg







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