今日も夢を見る
大切な仲間が殺されてしまう夢
それは本当にあったことで、今でも彼の頭からは離れない
白い肌に聖職のような黒いスーツ、黒髪黒眼という外見の彼は、その瞳に朱色の十字を写している
彼はティーア・ルミブル、殲滅眼の保持者
彼は中央大陸にある、魔眼保持者だけの組織の、表にリーダーである
ティーアは人間はあまり好きではなかった
なぜなら魔眼保持者というだけで自分達を狩ろうとするのだ
自分達は何もしていないのに、攻めてくるのだ
だから、あまり好きではなかった
そんな彼は子供達には優しい、組織の中でも頼れるお兄さんなのだ
そして彼は今仲間に引き入れたい奴がいた
ライナ・リュートという複写眼保持者だ
一度は接触した
けど彼とはまた離れてしまった
ライナはヒトが好きなのだという
だから自分の友人や相棒と仲良くしたいのだという
だがライナはちゃんとわかっていて
自分が化け物だと、そう言うのだ
悲しそうな顔をして言うのだ
ティーアは彼を救いたいと思う
こんな、残酷な世界から救ってあげたいと思う
「ライナは、今どこにいるんだろう」
そして彼は考える
そうやったら説得できるのか考える
「迎えに行くからね、ライナ…早く会いたいよ」
ふふ、と彼は怪しげに笑った
丁度その時、奥の方から彼を呼ぶ声が聞こえた
ティーアは何だか、すぐに彼に会えるような気がした
瞳に写すものライナはちょっと寒気がした
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