その日、万年眠たそうな男、ライナ・リュートが教室に入るといるも異常にそこは騒がしかった

「何かあったの?」

自分の机に荷物を置きながら近くにいた自分の親友、銀髪金目のシオン・アスタールへと話しかけた

すると彼はこう答える

「三年生に転校生がやってきたらしいよ」



「はあ?この間俺たちのクラスにヴァイスがきたばっかじゃんか」

流行ってんの?とライナは言った

「僕を呼びました?」

「いや、これっぽっちも呼んでないから、話をややこしくしないでくれ」

「残念ですね、ライナさんと今日の下着の色について語ろうかと思ったのに」

「んな事俺がするか!?」

「おや?この間女子更衣室から服を盗んだんでしょう?」

困った人です、とヴォイスは笑った

なんだが彼らの会話に反応してか、キファが顔を赤く染めていた

「ば…誤解だって!!」

そう、あれはヴォイスが勝手に自分の鞄の中へ入れたのだ

だから全面向こうが悪いのであって

…確かに自分も油断していたのは否定できないのだが

「そうそうライナさん、転校生がきたらしいですよ」

「それさっきシオンから聞いたよ」

「流石ライナさん、情報が早いですね…!早速彼女を口説きに行くんですか?」

「は?転校生って女性なの?」

「そうです、それはもう綺麗な………おっと僕は幼児があるのでした」

「漢字が違うんじゃない?」

「わざとですよ?」

と、ヴォイスはそういってスキップしていった

「あいつ授業でないのかよ……」

どう突っ込んでいいかわからないライナであった





「ライナいますか?」

昼休み

早々にご飯を食べて机に突っ伏していたライナの元に誰かがやってきた

ご飯は食べないとキファに毎回怒られるので食べるようにしているのである

因みに、彼はお弁当で母であるイルナのお手製である

「んあ?誰か呼んだ?」

ライナがふと顔を上げると、彼の目の前には知らない女性が

「……誰?」

「やっぱり忘れてる」

見れば彼女は三年生のようだ

「もしかして噂の転校生?」

「今日ここにきたわ、多分そうね」

「ほいで…誰だっけ?」

ライナが首を傾げると、赤い髪を肩まで伸ばした彼女は小さくため息をつく

そして

「ビオ・メンテよ」

そう一言

「…は?ビオ?」

「そうよ」

やっとわかったの?と彼女は腰に手を当てた

「ライナ、知り合い?」

「まあ、その、昔ちょっとしたな」

「また戻ってきたの、よろしくね」

「ああ、うん…」

彼女はにこりと笑って教室から去っていった

「お前ら何耳たててんの?」

それをじっと見送った後に、ライナは後ろを振り向く

するとキファをはじめ、シオンやフェリスが興味津々、というように自分を見つめているのだ

「そんなに聞きたいのかよ……」

ライナも小さくため息をついた

「ビオは七、八年前にこの街に住んでたんだ、で、引っ越したの」

「ふむ、お前と知り合いということは私とも知り合いか?」

自分の家の前に住んでいる幼馴染、フェリス・エリスが首を傾ける

「いや、親父の知り合いだったの、んでたまに会って遊んだわけよ」

「成る程、リューラさんの…だから誰も知らないのかあ」

「そうそ、滅多に会わなかったしな〜
引っ越したのを聞いたのも最近音沙汰ないなと思って親父に聞いたらそう言うんだよ」

「理由は何だったの?」

「よくわかんないけど、家の事情だとか言ってたなあ、今は解決したのかな」

ライナはそう言って椅子にもたれかかった

「ふむ、で?お前は小さな頃からあいつに徐々に手を出していたのはわかった
今戻ってきたあいつも狙っていると…そういうことだな?」

「何で毎回お前はその話題に持って行きたいわけ?」

「…む?」

「ああ、そうですか…」

いつもの冗談のようだが、これを毎回は結構疲れるのだ

ライナはがっくりと肩を落とした

「ライナは…その、ビオさんのことどうなの?」

「どうなのって?」

「も、もう…何でわからないのよう…」

思い切ってライナに聞いてみたキファは彼の返答にあきれたように頭を抱えた

「キファ、ライナにそういうの求めちゃダメだよ」

「そう、だよね、シオンありがとね」

肩をぽんぽんと叩かれて、キファは彼に礼を言ったのであった

「ライナー!」

帰り道、久しぶりに四人でだらだらと歩いていると昼間にやってきた彼女が駆けてくる

「ビオ」

「私もこっちの方向なの」

一緒にいいかな?と聞いてくる

「俺はいいけど…」

「はっ!?またお前はあいつを襲って…!?」

「違うって」

「ふむ」

もういいよ、とライナは顔を上げた

「ライナはもてるなあ」

「何でそうなるのよ?」

「自覚ないの?」

シオンはそんな彼を見ながらくすくすと笑っている

そういえば頻繁にこんなことでからかわれている気がする

でも、ライナにとってそれはよくわからないことで

「罪なやつめ」

そんなことを言われてもきょとんとするばかりであった

「街もなんかちょっと変わったね」

「そうか?」

「私がいない間にライナの周りにいっぱい女の子がいるし」

「そ、それは…」

ビオも歩きながら悪戯っぽく笑った

そして、シオンは思う

ライナを、友人を見ていて思う

今は三人の女子に囲まれている彼

でももう一人、一年生にも彼を思っている女子はいるのだ

だから実質四人なわけで

けれどライナは毎回笑って、へらへらして流してしまうものだから関係はあやふやである

いずれ決めなくちゃ皆を泣かせることになるんだろうな、なんて彼は思いながら隣を歩く

まあ、本人達には言わないけれど

それにフェリスにいたっては無自覚なようだし

今回の転校生もまだはっきりと彼には言っていないし

「まあ面白いことにはなりそうだな?」

なんて呟く

「何が面白いのだ?」

「なんでもないよ」

いつの間にだんごを取り出したのか、フェリスが食べながら彼に聞く

でもシオンは軽く流しておいた

言わないほうが面白そうだから

日は相変わらず真っ赤に燃えていた

因みに、ヴォイスは本当に幼小部で一日過ごしたとか何とか

次の日大変ご機嫌だったらしい




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