「もうすっかり冬ですね…」
「僕、積もった雪で雪合戦したい!」
「子供ですか貴方は…」
「身体は大人、心は子供でいたい感じ!」
そう言って、何だかえらそうに胸を張っている双子の弟を横目に、ノボリはため息をついた
息を吐き出すと白くなって、風とともに流れていく
「プラナスまだかな〜」
「女子の身仕度には時間がかかるものなのですよ」
「女の子って大変だね」
「おや、わたくし達も身だしなみには気を付けなければならないのですよ?」
「清潔感や整った服装は、それだけで与えるイメージをよくするもんね」
クダリは寒そうに手に息を吐きかけた
指先がじわりと暖かくなる
「手袋してくればよかった…」
「わたくしの予備を使いますか?」
「ありがと、言葉に甘える」
ノボリは、ポケットから自分がしているものと色違いの手袋を取り出し、クダリに渡した
と、その時丁度彼らの真後ろのドアが開いて、二人が待っていた人物が顔を出した
「お待たせしちゃって、ごめんなさい」
「ん、大丈夫!」
「そうですか?」
「勿論です、さあ買い物へ行きましょうか」
ノボリはプラナスの手を優しく握って歩きだした
今日は皆で街を回ろうと約束したのだ
「あ、ノボリばっかりずるい!僕も手繋ぐ!」
クダリも慌てて、塞がっていないプラナスの手をぎゅうと握った
「なんか、最初に三人で買い物に行ったときもこういう風に手を繋ぎましたよね」
プラナスはそう言って、嬉しそうに二人の手を握り返した
外は寒くても、彼らの周りだけは温かい空気が流れているようだった
繋いだ手は
すぐあたたまるね
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