見渡せば全く知らない土地であった

どれくらい空を飛び続けてきたのかわからない

ゆっくりと地上に降り立ち、彼は自分をここまで運んできてくれた白いドラゴンに礼を言った

あの日から、彼は各地を旅して回っている

世界を知るたびに、自分がどんなに狭いところで生まれ育ってきたかがよくわかった

新しい発見ばかりで、ちょっとわくわくが止まらない

「いつ、戻れる…かな」

緑の髪を揺らして、彼は今日も未知なる何かを求める

時折、自分が今まで深く関わってきた人達のことを思い出す

ライバルのこと、トモダチのこと、そして家族のこと

自分の力を出し切って戦ったあの日、初めてわかったこと

小さな彼女が泣きそうな顔をして、自分に行かないでくれと叫ぶのだ

けれど、彼はそれを押し切ってここまでやってきた

もしかしたら、新しくやりたいことも見つかるのかもしれない

そんなことを考えながら、旅している

「レシラム、ここがあの子の住んでいたところだよ」

『……』

「そうだね、イッシュとはまた違ってここも素敵なところだ」

『…?』

「うーん、それは……まだ、わからないな
でもやっぱり彼女が心配だから、いつでも戻れるようにはしておきたいかな…」

彼はポケモンと会話ができる

それは彼が生まれ持った才能のようなもの

でも長年彼が過ごしてきた環境の中で、身につけたものでもある

彼は各地を巡りながら、見たことのないポケモンと出会って会話もした

自分と出会う前の彼女も、こんな風に旅をしながら色んな人達と話したのだろうか

「もっと、話したかったな…」

『…』

「うん、一通り見て満足したら…やっぱり戻ろうかな?あれから、随分時間もたつしね…」

そっとレシラムの頭を撫でる

レシラムは気持ち良さそうに目を細めた

Nは街を見渡し、ふうと息を吐く

「ボクは、立派なお兄さんになれるかな?」

きっとまた、すぐに会えるよ

「待っててね」

彼は足を前に踏み出した




から始まる▲▽生活.B02
まだまだ旅の途中






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