「デモンストレーション?」

「そう!」

紙をぺらりと渡された

そこにはイベントがどうと書いてある

「トリプルトレイン…?」

その中にふと引っ掛かる言葉があったので聞いてみる

「実装するかどうかのテストをかねて、一日試運転をするそうです」

「トリプルバトルするんだよ!」

すると二人はちょっとうきうきとして、プラナスに詳細を教えてくれた

しかし、プラナスはまだよくわかっていないのか首を傾げる

「…トリプルバトルっていうのは…」

「あれっ…プラナス知らない?」

「ダブルバトルは知ってますけど…」

「プラナス様は前までわたくし達の知らない土地におりましたから…」

「そっか…じゃあ僕達が説明してあげる!」

クダリはぽんと手を叩き、そしてどこから持ってきたのか、手元にあったホワイトボードに何かを書き出した

「ダブルバトルは二体のポケモンを出しあって戦うよね?手持ちは四体が基本」

「クダリさんが乗っているダブルトレインではそのルールですよね」

「トリプルバトルは三対三で戦うのです、場に六体でるということですね…手持ちは三体か六体が基本となります」

ノボリもさらさらとボードに追記する

「なるほど…それで今回はそれをすると」

「流石プラナス様、おわかり頂けたようで嬉しいです」

「今回は僕達とプラナスで車掌さんだよ!」

「私?」

「うん!ノボリがプラナス強いから大丈夫って交渉したの!」

ぽん、と肩を叩かれた

「私、そんなに強くないですよ…」

「またまた御謙遜を…プラナス様はわたくしと初めて会ったときに、ツルバグ様達をこてんぱんにしたではありませんか」

「僕もこの間の電車でプラナスが頑張ったの見たもん!それだけでわかるよ?」

「その通りです!そんなわけで、こちらがプラナス様の車掌服でございます」

ノボリはコートの中から袋を取り出してプラナスに渡した

「なんか…最初から拒否する権利もなかった感じですね…」

「ん…プラナス嫌だった?」

「まさか、私でよければ喜んで」

「そう言ってくださると思っておりました
さあ…早速そちらの服を試着なさってくださいまし」

いつかの洋服選びの時のように背中を押された

袋を開けると中には帽子にコートに腕章

それから、二人とおそろいのネクタイ

ワイシャツとズボンもさりげなく入っている、つまり全身着替えろということらしい

「凄くデジャヴなんですけど…」

「あまり思い出したくない記憶ですね…最初にプラナス様の着替えを覗いたのがわたくしではないのですから」

「なんかどこから突っ込んでいいかわからないんですが」

「気にしないでくださいまし」

「じゃあ僕達部屋の外にいるから、着れたら見せて!」

そう言うと、二人はプラナスを控え室に残し出ていってしまった

プラナスはがさりと再び袋を漁る

よく見ると自分の髪色にあわせてくれたのか、緑掛かった黒い車掌服が入っている

しかし何だかサイズが大きい気がする

「とりあえず、これしかないし…」

プラナスはシャツのボタンに手を掛ける

手際よく着替え終わり、キョロキョロと全身を見渡しチェックする

「やっぱりサイズ大きいよね…袖余るし…ズボンぶかぶかで床に擦れるし…サイズ間違ったのかな?」

ギリギリ大事なところは見えていなかったりする

取り替えてもらおうかと外に待機している二人へ声をかけようかと思った矢先、扉が開いた

着替えおわったことがわかったのだろうか、やけにタイミングがいい

「二人とも…これ大きいですよ、替えてください」

プラナスはここぞとばかりに、腰に手を当ててぷんぷん怒ったふりをしてみた

だが二人は彼女を見つめるばかりで、固まっている

しかし、隣に聞こえるくらいの小さな声で何かぶつぶつ言いあっているらしい

口がもごもご動いている

「あれ…わざとやったの…?」

「なぜそうなるのですか…いくらわたくしがプラナス様が大きなサイズの服を着たところが見たいからといって、わざとわたくし達と同じサイズで発注したなんてことは」

「…したんだね……」

「してま…………ええ、見たかったです…見たかったですとも…!
あの見えそうで見えないちらリズム…ずりさがるコートや帽子…ベルトをしているといってもぶかぶかのズボン……!」

プラナスには二人が何を話しているか聞こえなかったが、仕草や雰囲気から大体の内容は把握した

「ノボリ、もう色々アウトだよ…」

「わたくし、アウトではありません…むしろゴールです!」

「意味がわからないよ…」

プラナスはしばらく二人のやりとりをじっと見ていたが、ふぅと大きく息を吐いた

「とりあえず、喋ってないで取り替えてもらえますかね…?」

そして、だぶだぶのコートをするりと脱いでノボリに手渡した

「そんな…似合っておりましたのに」

「ノボリ、もう今日は割り切ったんだね…否定すらしない」

「最近割とそうじゃありませんか?」

「んー……確かに…」

「それにほら、私がこんな見えそうで見えない格好で人前に出たら嫌じゃないですか?」

プラナスはそう言って被っていた帽子を取り、ひょいと先程のコートの上に乗せた

「それは…例えお客様であっても、プラナス様のあんなところやこんなところを見られるのは…」

「僕もヤダ」

「おや…意見が一致しましたね?」

「理由は違う気がするけどね…」

「では、早速こちらのプラナス様にぴったりのサイズを…」

さっとノボリはコートの中から最初に渡されたものとは違う袋を取り出した

「最初から出しましょうよ、ノボリさん…」

「そんなことしたらプラナス様の可愛らしい姿が拝めないではありませんか」

「つまり、サイズの大きな服を着た私を見て、小さくて可愛いなぁとか言いたかったと」

「こほん…まぁそちらは置いておいてくださいまし」

改めて袋を手渡される

ちらりと中を覗くと、今度こそ自分にぴったりのサイズらしい

先程よりも小さくまとまって入っている

「じゃあぱぱっと着替えますので待っててくださいね」

そう言ってプラナスは再びドアを閉め、数分後にはにぴったりサイズの制服を纏って現われた

「三度目の正直にならなくてよかったです」

そして、プラナスはまじまじと自分が着ている服を眺めながらそう言う

「わたくし…どれだけ疑われているのでしょう…」

ノボリはちょっと淋しそうに肩を落とした

「じゃ、早速見せびらかしに行こ!」

「へっ?あ、ちょ……?」

そんなノボリを横目に、クダリはプラナスの手を取り走りだす

「く、クダリお待ちなさい!」

「えへへ、たまには独り占め!」

ノボリも慌ててばたばたと走りだした

クダリは追い付かれまいとぐんぐんスピードをあげ、プラナスは半ば引きずられている状態

追い駆けっこをしながら行きついた先は誰もいないホーム

しかし、目の前にあった柱の影がゆらりとゆれた

静かなホームに声が響く

「こんにちは」

そして、柱からひょいと長身の青年が顔を出す

髪は緑がかっており、癖毛なのかぴんぴんとはねている

そこに帽子を被り、特徴的な首飾り

そして腰にはキューブがぶらさがる

「そんなに警戒しなくてもいいんじゃないかな…ボク何かしたかい?」

困ったように首を傾げる青年の瞳には光がない

「N様…一体こんなところへ何のご用でしょうか?」

ノボリはいつでも動けるように態勢を作る

「ノボリったらまだ根に持ってるんだね…」

「さっきも言ってましたしね……これは何かあるたびに文句を言うパターンですね」

後の二人はそんなノボリを呆れたように見つめる

彼はいまだにプラナスの着替えを覗かれたのを気にしているようだ

しかし、自分もちらりと目を明けて見ていたことは決して口にしなかったりする

「自分のこと棚に上げてる」

「前に自分で口を滑らせましたしね…」

「煩いですよ、クダリ」

「え、注意されるの僕だけなの…」

クダリは少し不満そうに口を閉じた

Nはそんな三人のやりとりを美ながら、話を切り出した

「ボクは君達に謝りにきたんだよ」

「謝罪……でございますか?覗きの?」

「それじゃなくて、もっと別のことだよ」

「別……?」

「そう、この間電車が大変だったんじゃないかな、それだよ」

三人は顔を見合わせた

電車が大変といえばこの間のことしか浮かばない

「あれ、何で知ってるんですか?」

「色々あってね」

「しかし、なぜN様が?」

「ああ…ボクが君達の話をしているのを彼らが聞いちゃったみたいなんだ…だから、今回のことはボクが悪いと思って、迷惑かけちゃったから謝りに来たよ」

ごめんね、とNは言う

「ボクもそれを知ったのは最近なんだ」

「N様がわたくし達のことを…」

「そしたらあの、えーと……」

「プラズマ団」

「そう、そのプラズマ団が変なことしたんだね」

クダリは納得したようにうんうんと頷いた

「ボクも驚いたよ…ここはホクには無縁の場所だと思っていたけど、電車は嫌いじゃないし
せっかく謝りにきたついでに見ていこうかなって、君達と話したいと思っていたしね」

「わたくし達と…?」

「僕達何も喋ることないよ?」

「ボクはあるよ…一つだけ聞きたいんだ、君達にとって、ポケモンとは何だい?」

「ポケモンとは…?」

「ここはバトル施設だ、否応にもポケモンというトモダチが傷ついてしまう
トレーナーとは何だろうね?バトル、育成、捕獲…ポケモンはそれでシアワセなのかな」

Nは次々と言葉を並べ、ゆっくりと三人へ近づいた

「モンスターボールに閉じ込められている限り、ポケモンは完全な存在にはならないと思うんだ
ボクはポケモンという名のトモダチのため、世界をかえなければならない」

「世界を…」

「ボクは誰にも見えないものが見たいんだ
ボールの中のポケモン達の理想…トレーナーという在り方の真実…そしてポケモンが完全なとなった未来…
でもまだ世界を変えるための数式は解けない…」

「どういうことでしょうか…」

「………おっと、ちょっと話しすぎたみたいだね…もうこんな時間だ…ボクは行かなくちゃ
話は終わってないけど、これはまたの機会にするよ」

両者の距離が1mもなくなったところで、Nはさっと身を翻した

「次は是非君達のトモダチとも話をしたいものだね
まあ、観覧車に乗って落ちたときに彼女のトモダチとは少し話をしたんだけどね」

「ちるたんと…?」

「実に興味深かったよ…まさか……いや、これはいいかな」

「待って、それってどういう…」

「それじゃあ、またね」

プラナスは慌てて手を伸ばしたが、その前にNが手をひらりと振った

すると急に風が吹き、訪問者の姿は掻き消える

残ったのはいつものホームで、何もなかったかのようにしんと静まり返っていた

まるで何かの前兆のように、奥には深い闇が広がるばかり

「一体…何が……」

取り残された三人はぽかんと立ち尽くすしかなかったのである




から始まる▲▽生活_07
近いうちに何かが起こる……のか?





プラナスは レベルが8に UPした! ▼
「知力」が2あがった! ▼
「愛力」が3あがった! ▼
「魅力」が2あがった! ▼
「やる気」が1あがった! ▼
◎現在のプラナスのステータス
・愛力23(+3)
・知力16(+2)
・魅力16(+2)
・運気−5
・やる気6(+1)
・逃げ足−3



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