「あ〜トウコだぁ!待ってたよぉ!」

目的地につくなり声をかけられた

この四人という多すぎず少なすぎない人数は、メンバーが個性的で何となく目立つ

「トウコ久しぶり!会いたかったよぉ……って今はそんな話してる余裕ないよねぇ…」

「あはは、そうかも…しかも、ベルがここにいるってことは…」

「ボクもいるっていいたいのか?」

「チェレン!」

トウコは彼女と同い年くらいの男女と親しそうに話している

「トウコ様の幼なじみのベル様とチェレン様です」

ノボリが話の最初から置いてきぼりをくらったプラナスに補足説明をしてくれた

「話は聞いてるかもしれないけど、アデクさん…チャンピオンがNに負けたんだ」

「そしたらお城が地面から出てきてこうなったの…」

「トウヤはさっき入っていってしまって、まだでてきていないよ…」

「トウヤ無茶してそう…トウコ、何とかしてあげて!」

「うん、わたしそのためにきたから…」

トウコは高くそびえ立つ城を見上げた

ノボリが電話で聞いたように、上からは炎や雷が舞っている

「急がなきゃ…」

「ボク達、あまり何もできないけど…困ったときは手をかすよ」

「あたしも!…って、隣の人達のこと忘れてたね…
男の人はサブウェイマスターだよね?女の人はトウコの友達?」

ベルはプラナスとノボリ達を指差した

「まあ、そんな感じかな…詳しくは今起こっていることが解決したらね!」

トウコは二人に手を振って城内へ駆け込んだ

プラナス達も置いていかれまいと慌てて追い掛ける

「あ!カミツレに会ったら電話ありがとって伝えて!」

その際にクダリは、くるりと振り向いてそう叫んでおいた

城に入ると、妙に空気が張り詰めている気がした

上で起こっている事が原因だろうか

「上に上っていけばいいのかな?」

「部屋とかも探索した方がいいんじゃない…?道具とか落ちてるかも…」

辺りを見回しながらゆっくりと進む

周りに人がいないか確認しつつ、近くにあったドアを開けていく

開けたドアの先には何もなかったが、何回目かに開けたドアの向こうは、少し城とは不釣り合いな空間が広がっていた

どうもここだけが異様な空気を纏っている

「おもちゃが、いっぱい…?」

カタカタと玩具の電車が組み立てられたレールの上を走っている

床にはバスケットボールが転がり、壁にはアートボード

トイケースには、まだ使っていない新しい玩具が入っているようだ

所かしこにポケモンの引っ掻き傷のような跡がついている

「ここは……」

プラナスはボールを拾い上げ、ざらつく表面を指で撫でた

そこには文字が刻まれている

「ハルモニア……、………この部屋は、私達があまり踏み入れない方がいい気がする…」

プラナスはそう言ってボールを床にそっと置いた

そのままゆっくりと部屋を出る

すると、目の前に先程まで欠片も見当たらなかった人影が立っている

「おや、よく会いますね」

プラナスがこのイッシュにやってくるきっかけを作った彼

「今日は二人できましたよ?いや、私としては戦いたくないのですが、ボスがね」

ツルバグはにこりと笑ってボールを取り出した

プラナスも慌てて腰に手を伸ばすが、それは自分の夫によって制される

「プラナス様、ここはわたくしとクダリにお任せ下さいまし」

「でも」

「…プラナス様はN様とトウヤ様を止めたいのでしょう?なら、ここはわたくし達に任せて先に行ってください」

「僕達すぐにおいつくから!」

と、二人はプラナスとトウコの背中を軽く押した

「たまにはわたくし達もかっこいいところを見せたいですから…」

「……はい」

プラナスは一度くるりと振り返り、ノボリの手をぎゅうと強く握る

それから城の最深部へと駆け出した

「プラナス泣かせないで下さいね、二人共!」

トウコはそう言い残して、プラナスを追い掛け、闇の中へと消える

それを確認してから四人は向かい合う

「これで、周りを気にすることなく始められますね」

「久々のノボリと一緒のバトル、楽しみ」

白と黒の車掌は楽しそうに、手に持っていたボールを投げる

ツルバグも愉快そうににやりと笑った

「出番ですよ、ダストダス!」

「行けアイアント!」

二人のボールからそれぞれポケモンが飛び出す

彼らがいつもトレインで共に戦うパートナー達だ

「ダブルバトル…いつかのホームでのバトルを思い出しますね…今回は負けませんよ、…キュウコン!」

ツルバグもボールを投げポケモンを出した

そして後ろに控えていたもう一人の男もボールを放る

中からはバクオングという音をメインに戦うポケモンが地面にずしんと足をついた

「私達の役目は足止めのようですが、せっかくですから楽しみましょう!キュウコン、かえんほうしゃ!」

「バクオング、ハイパーボイス!」

「あ!アイアント炎が弱点!」

「いわなだれがあるでしょう」

「そっか!アイアントいわなだれ!」

うっかりしてた!とクダリはこつんと頭を叩いた

その間にアイアントの技がキュウコンにヒットする

「ダストダス、追い打ちしますよ!ベノムショックです!」

その後のダストダスの攻撃も見事に直撃し、キュウコンは戦闘不能になった

「私のもふもふが!仕返しですよエルフーン!」

ツルバグは続けて新しくポケモンを出してくる

以前も駅のホームで出してきたポケモンだ

「ふふ、相性考えた方がいいよ!アイアントシザークロス!」

しかし、クダリがすかさず弱点をつく

「エルフーンだけでなく、向こうのポケモンも厄介ですね…ダストダスきあいだまです!」

「じしんで応戦だ!」

バクオングは技があたる直前に地面を揺らす

じしんは全体攻撃であるためエルフーンも巻き添えにする

だが直後にダストダスの技に当たり、昏倒

「よし、行けブーピッグ!」

男は慌てて次のボールを投げた

「こちらも交替ですね、イワパレス!」

「デンチュラ頑張って!」

ノボリとクダリも体力が減った二匹を引っ込め、新しくポケモンを出した

「私はついに最後ですか…」

「おいツルバグ、お前また弱点つかれるぞ!」

「おや、喋るときは敬語を使いなさいと何度も…」

「入団三日しか違わないのに!」

「最初の話に部下と表記があったでしょう」

「異議あり!昇格を求める!」

「お断わりします…行きなさいカメックス!」

ツルバグもボールを投げ、最後に残ったポケモンを出す

「僕あの人が喋ったの初めて聞いた」

「三日なんて大差ありませんよね…」

「難しいね大人って!」

「貴方も大人ですよ…」

「えへ☆」

ノボリは呆れたようにため息をついた

「元気出して!デンチュラ、ワイルドボルト!」

「なぜ貴方に励まされるんでしょうか、わたくしは…?イワパレスシザークロスです!」

一気に身体から力が抜けるのを感じながら、ノボリは技を指示した

二匹は華麗に先制し、まだぶつぶつと言い争いをしている二人のポケモンを戦闘不能にした

「ほら見たことか!」

「貴方も弱点つかれましたよ!」

「俺まだ一匹残ってるもん!ラグラージ!」

男は最後の一匹をくりだした

ノボリ達もその隙にすかさず交替させる

「技を出して頂く前に片付けましょう!ギギギアル、ギアチェンジ!ギガインパクト!」

「ノボリは早くプラナスのところに行きたいんだね!アーケオス、つばめがえし!」

そして息もつかせず総攻撃した

ラグラージは大きな身体を傾かせ、どしんと地面に倒れた

「終わりました」

「思ったより時間使っちゃったね」

二人は顔を見合わせてから、ぽんと手をあわせた

「結局こうなるのか…」

「全く、これだからゴンベエは」

「ゴンベエ!?名前違うって!」

「一回も名前出てこなかったでしょう、ゴンベエでいいのでは」

「よくないよ!」

ゴンベエこと、本名シュンランはこの日を境に家に帰った途端、人間不振に陥る

おちおち外出できないほど悪化し、家に引きこもりがちになるが、ある日パソコンで絵を描いてみたところ、これが大受けし一躍有名となる

世間でいうライトノベルに挿し絵を描き、アニメやゲームのキャラデザにも引っ張りだこになるのだが…これはまだ先の話である

「シュンラン、もたもたしないでさっさとずらかりますよ」

「やっと俺の名前を呼んでくれた!?しかし、お前最初となんかキャラ違…」

「いいんですよ、大人の事情で私達はまた出れるのか微妙なんですから、好き勝手やっても」

「ええええ……」

ツルバグはむんずと襟首を掴み、ずるずるとシュンランを引き摺りながら去っていってしまった

「大人の事情かあ…」

「触れないでおきましょう…そもそも、ツルバグ様がいらっしゃらなければ、わたくし達はプラナス様と会えていないのですから」

「それもそうだね」

クダリは納得したように頷いた

「さあ、急いでプラナス様のところへ向かいましょう」

そして、ノボリ達は辺りに誰もいないことを確認すると、一目散に駆け出したのだった


To be continued...?



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