飲み物を持ってきたときにちょうどプラナスが観覧車へ引っ張りこまれたところだった

どうしたものかと迷っていると、乗り物達が急に動きを止めてしまう

直後、視界に見慣れた人物が入り込む

「あれ、ノボリだ」

黒い帽子に黒いコート

若干息をきらしている彼は、きょろきょろと辺りを見回している

「プラナス様は…」

開口一番にそれである

置いていかれたのが嫌だったのか、はたまたプラナスのことが気が気でならなかったのだろうか

無理矢理起きてきたのだろう、きっちり着込む彼にしては少し服が乱れている

「プラナスは……あそこ」

そんなノボリを見ながら、クダリは気まずそうに彼の遥か上方を指差した

先にあるのは観覧車である

しかしそれは回ってはおらず、完全に動きを停止している

「……止まっておりますが」

ノボリはそれをじっと見つめて首を傾げる

観覧車は先程大きく地面がゆれたときに、他の乗り物とともに停止したのだ

「さっき乗り物みんな止まっちゃった
だからプラナスも今あそこで二人きり」

「二人、きり…?どういうことです?」

「プラナス観覧車乗っちゃったの、Nにひっぱられて乗っちゃった」

「………」

クダリがそう言うと、ノボリはみるみる顔色が悪くなる

彼は元から無表情だが、さらに無表情になり…更にちょっと目が死んだ

「わたくしが…プラナス様と、観覧車に…乗りたかったのに……
小さくて可愛らしいプラナスを目の前でじっと見ていたかった……のに…!」

そして懐からボールを取出し開閉スイッチを押す

「…オノノクス」

中からはドラゴンポケモンのオノノクスが飛び出す

しかしわけもわからず、いきなり場に出されたあごオノポケモンは、状況が掴めず辺りを見渡した

「の、ノボリ何してんの?」

「プラナス様を救出するのです
あのプラナス様の着替え中のカーテンを開けるという行為を独り占めした…あの方からプラナス様を…
許せません、二人きりで閉鎖空間になど…断じて…」

「ノボリ……落ち着…」

「今日も立派なオノでございますね、げきりん」

ノボリは観覧車を支えている支柱を指差す

オノノクスは振り向いて「本当に?」というように首を動かしたが、ノボリの目はマジである

迫力に負けて技をくりだした

そしてクダリは気が付く、オノノクスは何かを頭に巻いていると

明らかにこだわっている、しかもスピードではなく攻撃重視

これだけのためにいつも持たせているものとは違うものを持たせたのだろうか…

「ノボリ、げきりんなんて危ないよ!せめて、空を飛んだり電気流してみたりしよう?」

クダリは必死にノボリの肩をゆすった

ノボリはしばらくゆすられるままぐらぐらしていたが、クダリの呼び掛けではっと我に返ったらしい

「はっ…わたくしは何を…?」

「空とか飛んだ方が安全だと思うって話だよ!」

「なんと…それは素晴らしいアイデアでございます!早速空を飛んでプラナス様を迎えにゆきましょう」

そう言ってゆすっていたクダリの腕を掴んだ

クダリもノボリが戻ってきてくれたことにほっと一息ついて、腰にあるボールに手を伸ばす

自分の手持ちにいる飛行タイプで空へと舞えばきっとすぐにプラナスへ会えるだろう

しかしその選んだボールを投げようとした瞬間、バキッと不吉な音

「「…あ」」

声をそろえて、ゆっくりと音の聞こえた方へと首を向ける

見ればオノノクスがちょうど観覧車の柱にひびを入れたところだった

指示を出したままだったのをすっかり忘れていた

待ったコールもせずに二人で話していたのがまずかったのだ

支えるものが脆くなった観覧車は、げきりんの衝撃も相まってぐらぐらとゆれる

そのすぐ後に一番上の乗り物からプラナスとNが飛び出したのが見えた

「うわあ……これってもしかして僕も一緒に弁償フラグ…?」

クダリは崩れていく観覧車を見ながら、思わず頭を抱えた




から始まる▲▽生活.S02
観覧車の建設費は10〜20億です……






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