いつも彼は私を見ていたけれど、彼のその瞳に私が映ることは一度も無かった。それは私の彼と同じ瞳を通して更に奥に存在する人物を見ていたから。凶悪犯罪者集団“暁”のメンバーのひとり、私の従兄でサスケの兄、うちはイタチ。

サスケは力が欲しいと三年前に木の葉を抜けて大蛇丸の下へ走った。黄色い頭のあの子を振り切ってまでイタチ兄ちゃんへの復讐でいっぱいだったんだと思う。私もお父さんとお母さんを殺されてしまったけど、サスケみたいな感情は湧いてはこなかった。あの日、泣いていたイタチ兄ちゃんを見てしまったから。だけど私もうちは一族のひとり。サスケにだけ重荷を背負わせたりなんてさせない。



大蛇丸のアジトでの修行の日々は決して楽なものではなかった。どんくさい私はサスケとは違って怪我をしてばかり。術を覚えるのだって写輪眼が無ければ皆無だったし、毒薬耐性のための薬物投与も苦しかった。けれどそれと引き換えに力はみるみる内についていった。そして私は修行の中で分かったことがある。憎しみとは、怒りとは、時に人を悪の道へと引きずり込む、ということ。大蛇丸のアジトを去る頃には、…ううん、もうずっと前から、サスケの中に昔の面影を感じることは出来なかった。


サスケは極力私を戦闘から避けた。それは私が同じくうちはの生き残りであるから、間違っても死んでしまわないため。そして彼なりに私のことを守ってくれている。私が怪我をしないように、人を、殺してしまわないように。


ある日私はサスケに聞いたことがあった。そんなにイタチが憎いのか、と。そしたらサスケは言った。

「殺したい程な」

ああ。もうサスケを止めることなんて誰にも出来ない。どっちかが死ぬまで、彼の中では憎しみを断ち切ることは出来ないだろう。

でもね、私知ってるよ。イタチ兄ちゃんのしてきたことは、全てはサスケのためだったってこと。サスケと私を殺さなかったのは、一族よりも、里よりも、私たちが大事だったから、殺せなかったの。


イタチ兄ちゃんを殺して一族が報われたとして、真実を知った私たちには一体何が残るの?


それは、きっと



からっぽの心

そうだとしたら悲しいね


110808
よくわかんないですよね。ごめんなさい(土下座)
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