「行ってくるね」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」


そう言葉を交わしたのは今朝のこと。恋人のカカシは他里にも名を馳せる忍者だ。それくらい強くて後輩からも部下からも慕われ頼りにされる忍、らしい。忍者ではない私にはよく分からないけど。

カカシは今日も、人手不足なのもあり、帰ってきてすぐ新たな任務を与えられたため慌ただしく里を出発していった。

すぐに帰ってくるからそんな淋しいって顔しないの、って私の頭を撫でたカカシ。顔に出ていたことが恥ずかしくて頬が赤いのが自分でもわかった。カカシの胸に顔を埋めると、彼の腕が私を包み込んだ。温かい。フワッと彼の香りが鼻を掠める。カカシの匂いにはとても落ち着く。


「約束だからね」

「もちろん。俺が約束破ったことある?」

「ある」

「ここは無いって言うところでしょ」

「ふふ。でも早くはないけど、いつも帰ってきてくれるよね」

「じゃあ今回は3日で帰るよ。約束する」

「ええ、約束よ」


カカシは口布を下げて触れるだけのキスをすると、微笑んで姿を消した。

大丈夫。カカシは何だかんだ約束は守る人だから。帰ってきたらいつものように「一人にしたりしてごめんね、淋しかった?」笑って私を力一杯抱き締めてくれるもの。

だから、大丈夫。
カカシ、カカシ。早く帰ってきてね。───








───2日後の夜。カカシは予定よりも一日早く里に帰ってきた。変わり果てた姿で。

一緒に組んでいた中で唯一中忍だった子を、敵の攻撃から身を呈して守ったらしい。


棺の中のカカシはただ寝ているだけのようで、声を掛ければ目を開けてくれるんじゃないかと思わせる。



そんな顔しないの。

「そんな顔するなって、…淋しいからするんだよ」

3日で帰るよ

「まだ2日目なのに、丸1日早いじゃない」

約束する

「ッ…約束守ったって、生きてなきゃ意味ないじゃない!」


ポロポロとカカシの顔に涙が零れ落ちた。

待ってたのに!貴方にまた会いたいから、私淋しくても待てたんだよ。前に私を残して死ねないって言ったのに!


「…う、うぅ…っカカシぃ…何で、」


触れた頬は冷たくて、カカシの香りも今はもう感じられなくて、胸を苦しめる切なさだけが残った。

こうなることもあるんだと分かっていたら、あの時出掛けるカカシにもっと好きだと愛してると伝えることが出来たのに。



もし叶うなら、あの日の貴方に、あいたい







せめて、愛してるとだけ言わせてください。



◎Love!企画提出
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